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中国小売売上高と鉱工業生産、11月は伸び鈍化 内需が縮小
[北京 14日 ロイター] - 中国国家統計局が14日に発表した11月の小売売上高は2003年5月以来の低い伸びとなり、鉱工業生産は少なくともほぼ3年ぶりの低い伸びとなった。内需が一段と縮小し、中国が米国との貿易摩擦の緩和に取り組む中、中国経済へのリスクの高まりを示す形となった。
11月の小売売上高は前年比8.1%増と、市場予想の8.8%増に届かなかった。10月は8.6%増加していた。11月は自動車の売上高が10.0%急減した。
政府によるシャドーバンキング(影の銀行)の取り締まりで企業の資金調達が圧迫され、生産や投資に悪影響が生じる中、中国経済はここ数四半期で失速の兆候を示している。
企業の成長鈍化は今年、消費者心理も圧迫し始めており、小売売上高の伸びにブレーキをかけている。高額商品がまず打撃を受け、自動車販売は5月以降、減少している。
米中貿易摩擦も広範囲で経済活動をさらに圧迫する要因となっている。
鉱工業生産は前年比5.4%増と、伸び率は市場予想の5.9%を下回った。2016年1─2月以来の低い伸び。10月は5.9%増加していた。
統計局の毛盛勇報道官は11月の鉱工業生産と小売売上高の伸び鈍化について、経済への下振れ圧力の増大を示していると分析した。
ただ、6.5%前後という2018年経済成長目標は達成する軌道にあるとの見解を示した。
Zhongyuan Bank(北京)のチーフ・エコノミスト、Wang Jun氏は「税金や金利などを引き下げる必要性はさらに高まっている」とし、「需要の不足が主な問題となっている」と述べた。
キャピタル・エコノミクスの中国担当シニアエコノミスト、ジュリアン・エバンズプリチャード氏はこの日の統計について「全体として、経済が国内、海外の両面で圧迫されていることを示している」と指摘した。
米中が今月初め、貿易戦争の「一時休戦」で合意したことで、経済への目先の影響は和らいだ可能性がある。しかし、仮に両国が持続的な解決策で合意したとしても、内需の弱まりや高水準の家計債務、不動産市場の減速などはいずれも来年の成長減速を示唆している。
キャピタル・エコノミクスのエバンズプリチャード氏は「今後、仮に米中が持続的な休戦で合意できたとしても、世界経済の減速や信用の伸び鈍化によって遅れて出る影響は、今後数カ月にわたり引き続き経済活動の逆風になる」とし、こうした状況が「貸出基準金利の引き下げを含む追加金融緩和につながる」との見方を示した。
トランプ米大統領は13日、FOXニュースのインタビューで「中国経済が問題に直面しているのであれば、わたしが原因だ」と述べた。
統計局の毛報道官は、米中貿易摩擦が中国経済に及ぼす影響はまだ明確でないと述べ、2019年に中国はさらなる「外的」不確実性に直面するとの見方を示した。
RBCキャピタルマーケッツのアジア為替戦略担当責任者、Sue Trinh氏は「最悪の時期はまだ来ておらず、特に消費の伸びが落ち込んでいることから、政策当局者は非常に懸念するだろう」と語った。
1─11月の固定資産投資は前年比5.9%増加。予想の5.8%をわずかに上回る伸びとなった。1─10月は5.7%増だった。
統計局の毛報道官は、投資の伸びは安定して推移する見通しとし、19年はやや上向く可能性もあるとの見方を示した。
1─11月のインフラ投資は3.7%増加。伸び率は1─10月と同じだった。
毛報道官は、インフラプロジェクトによる投資への影響が19年により顕著に現れる見通しだと述べた。
1─11月の民間の固定資産投資は8.7%増で、1─10月の8.8%増から伸びがやや鈍化した。中国では民間の投資が全体の約60%を占めている。
*内容を追加しました。
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