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11月中国貿易統計、輸出入ともに伸び鈍化 内外の需要軟調示す
[北京 8日 ロイター] - 中国税関総署が発表した11月の貿易統計では、輸出・輸入ともに伸びが鈍化し、市場予想を大きく下回った。国内外の需要の軟化を示したほか、中国当局が成長下支えのためにさらなる措置を講じる可能性を示唆する結果となった。
11月のドル建て輸出は前年同月比5.4%増となり、前年比マイナスを記録した3月以来の低調ぶり。伸び率は前月の15.6%から大きく鈍化し、ロイターがまとめたアナリスト予想(10%)も大幅に下回った。
海通証券などのアナリストは11月輸出について、米国が予定する対中関税引き上げ前の駆け込み輸出の影響が薄れたと分析。輸出の伸びは需要の鈍化につれて一段と鈍る可能性が高いとの見方を示した。
11月は主要な貿易相手国に対する輸出が前年比で軒並み鈍化した。
米国向け輸出は前年比9.8%増、前月は13.2%増だった。欧州連合(EU)向けは6.0%増、前月の14.6%増から伸びが鈍った。韓国向けは前年比マイナス、前月は7.7%増だった。
一方、11月のドル建て輸入は前年同月比3%増と、2016年10月以来の低い伸び。伸び率はロイターがまとめたアナリスト予想(14.5%)を大きく下回った。鉄鉱石の輸入が減少し、製鋼所の利益マージンが縮小する中で鉄鉱石在庫の補充需要が減っている状況が映し出された。
中原銀行(北京)のチーフエコノミスト、Wang Jun氏は「輸出と輸入の低調が本格化している」と指摘。輸入の軟調は、内需の大幅な減退を示していると述べた。
11月の貿易収支は447億4000万ドルの黒字。予想の340億ドル、前月の340億2000万ドルを上回った。
対米貿易黒字は過去最高の355億5000万ドル。前月は317億8000万ドルだった。中国の米国からの輸入は前年比25%減。前月はわずか1.8%減だった。
米中首脳は今月1日、貿易戦争の「一時休戦」で合意。通商交渉を継続する90日間は追加関税の導入を見送ることとした。
トランプ米大統領は7日、「中国との交渉は順調に進んでいる」とのコメントをツイッターに投稿し、米中通商交渉を巡り楽観的な認識を示した。
米商務省が6日発表した10月の貿易赤字は金額ベースで10年ぶりの高水準を記録。対中貿易赤字は7.1%増の431億200万ドルと、金額ベースで過去最高となった。
専門家は、中国の今年の輸出を支えてきた一つの要素に元安を挙げる。元は対ドルで5%超下落、中国製品の海外における競争力維持に寄与した。
光大新鴻基の北京支部責任者のジョナス・ショート氏は、元安は「向こう数カ月にわたり、(中国の)工業品輸出を後押しするだろう。工業品受注額と為替変動の間には通常6カ月のタイムラグがある」と語った。