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焦点:アンダルシア州議会選で極右躍進、一変するスペイン政治

2018年12月08日(土)09時51分

[マドリード 3日 ロイター] - スペイン南部アンダルシア自治州議会選で、新興の極右政党ボックスが12議席を獲得する驚きの結果となったことを受け、同国の政治家は右派、左派ともに同じ結論に達した。スペインの政治は変わり、元には戻らない。

サンチェス首相率いる社会労働党は第1党を維持しつつも議席を大きく減らし、同州で政権の座を失う可能性が出てきた。

スペインは来年5月、多くの地方自治体選挙と欧州議会議員の選挙が控えている。各党は変化する情勢の中で主導権を握ろうと色めき立った。

保守・国民党のパブロ・カサド党首は記者会見で「これはほんの始まりだ。スペインは限界に達した」と述べた。

アナリストによると、アンダルシア自治州議会で分かったのは(1)極右の台頭(2)政治情勢の分断加速(3)地方自治権や移民問題を筆頭とする二極化の深まり──であり、今後もこうした状況は続きそうだ。

「2日の出来事ですべてが変わった」と語るのは、世論調査会社GAD3のナルシソ・ミチャビラ氏だ。ボックスの議席獲得は予想していたが、12議席も取るとは驚きだという。

ミチャビラ氏によると、アンダルシアの有権者は左派、右派ともに、サンチェス政権の国政に物を申す機会として投票を活用したことを調査は示している。カタルーニャ自治州の独立問題について弱腰過ぎるといった批判から、早期総選挙への要望まで、さまざまな思いが込められたという。

<選挙前倒し>

ボックスのサンチャゴ・アバスカル党首は記者会見で「ここで起こったことがスペイン全体の行方を決するだろう」と語った。

泡沫政党だった同党は、主流政党に対する有権者のうんざりした気持ちや、スペインの結束および移民流入への不安を背景に票を集めた。アンダルシアには北アフリカからの移民が大勢流入している。

スペインが1970年代に民主主義を取り戻して以来、極右政党が選挙で躍進したのはこれが初めてだ。来年5月の選挙では、移民受け入れと自治体の権限拡大に反対するボックスが、より多くの地方で議席獲得を狙うかもしれない。

カルロス3世大学(マドリード)の政治科学教授、パブロ・シモン氏は「ボックスはすべての地方自治体で候補者を立て、議席を獲得すると確信している。スペインは他の欧州諸国と同様、極右政党を含む多くの政党が乱立する姿になった」と話した。

政府高官らは、アンダルシアの選挙を受けて旗幟を変えず、従来の政策を貫くと述べた。サンチェス氏は社会労働党の親欧州主義を維持すると強調している。

重要な問題は、少数派政権を率いるサンチェス氏が予定の2020年を待たず前倒し総選挙に打って出るかどうかと、その時期だ。

ボックスのビクトル・ゴンザレス副党首はロイターに対し、同党は成長し始めたばかりだと説明。「今選挙が実施されれば、2020年に実施されるよりも少ない議席にとどまるだろう」と述べ、焦らない姿勢を示した。

アンダルシア自治州で最終的に誰が知事の座に就くかを巡っては、まだ交渉が始まったばかりだ。アナリストによると、ボックスが国民党と中道右派シウダダノスを支えて右派連合を結成する可能性が最も高いが、極右と手を組めば親欧州主義のシウダダノスにとって厄介な問題となるかもしれない。

(Ingrid Melander記者 Belén Carreño記者)

ロイター
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