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OPEC加盟・非加盟国、日量120万バレルの減産で合意 原油5%高
[ウィーン 7日 ロイター] - 石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアを中心とした非加盟国は7日にウィーンで開いた会合で、合わせて日量120万バレルの減産を実施することで合意した。トランプ米大統領の原油安を求める声を振り切り減産を決定。減産幅が市場予想を上回ったことで、原油価格は約5%上昇した。
イラクのガドバン石油相によると、OPEC加盟国が日量80万バレル、非加盟国が日量40万バレルの減産を行う。今年10月の水準を基準とし、来年1月から6月まで適用されるが、4月に会合を開き見直しを行う。
市場では減産幅は最低で日量100万バレルとなるとの見通しが出ていたため、原油価格は一時約5%上昇し、1バレル=63ドルを超えた。
OPECを実質的に率いるサウジアラビアは、トランプ大統領から減産を決定しないよう圧力を掛けられていた。また、米政府はイランに圧力を掛けているが、減産は原油高につながることから今回の決定はイラン支援要因にもなる。
アラブ首長国連邦のマズルーイ・エネルギー相は記者会見で「OPECが地政学的な問題に対応することはない」と述べた。
ロシアのノバク・エネルギー相は、サウジのファリハ・エネルギー産業資源鉱物相の「最も困難な状況下で解決を導き出した」手腕を称賛。ロシアがOPECと考えを共にしていることを示唆した。
サウジのファリハ・エネルギー相は、今回の減産合意でトランプ米政権とサウジの関係は悪化するかとの質問に対し、供給が不足する事態になればサウジには増産する用意があるとし、「われわれは消費国が支払える水準を超えて価格を引き上げるようなことはしない」との立場を示した。また、最近米国が最大の産油国となったことを踏まえると、米国のエネルギー関連企業は「安堵のため息をもらしている」のではないかとも述べた。
今回の決定を巡っては、ロシアが合意する減産幅が小さ過ぎるとの懸念に加え、イランが減産措置からの除外を認められずに減産自体に反対するのではないかとの懸念が出ていた。 ただ長時間にわたる折衝の末、イランは減産に合意し、ロシアは一段の減産を行う意向を示した。複数のOPEC関係筋は、OPEC加盟・非加盟国の会合では直ちに合意が得られたとしている。
ロシアは10月の水準(日量1140万バレル)から同22万8000バレルの削減を確約。ただ削減は数カ月かけて段階的に行うとした。ロシアのノバク・エネルギー相によると、減産についてプーチン大統領がサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子と協議した。
このほか、OPEC加盟国の中で産油量が第2位のイラクは日量14万バレルの削減を確約した。
サウジのファリハ・エネルギー相によると、サウジの産油量は12月は日量1070万バレルと、前月の同1110万バレルから減少する見通し。1月は同1020万バレルに一段と減少するとの予想を示した。
今回の減産合意からはイラン、リビア、ベネズエラが実質的な除外を認められた一方、17年1月から除外が認められていたナイジェリアは減産に参加する。
今回の合意について、RBCキャピタルマーケッツのマネジング・ディレクター、ヘリマ・クロフト氏は、予想を上回る結果が得られたとし、通常は会合は半年に1回となっているところを4月に会合を開き見直しを行うことは重要であるとの見方を示した。
一方、ラピダン・エナジーグループ(米国)のプレジデント、ボブ・マクナリー氏は、「今回の合意は詳細があいまいとなっているため、実際の減産規模は日量120万バレルに達しない可能性がある」と指摘。「トランプ大統領は今回の合意に不満を持っていると思われるが、どの程度強く反応するかは原油価格がどの程度上昇するかによる」と述べた。
サウジ、アラブ首長国連邦、ロシアがイランの輸出減を補うために増産したことを受け北海ブレント先物
*内容を追加しました。