ニュース速報

NY市場サマリー(6日)

2018年12月07日(金)07時36分

[6日 ロイター] - <為替> 米債利回りの低下に伴い、ドルが主要通貨に対し下落。経済指標が弱含み、市場のボラティリティーが高まる中、米利上げペースが鈍化するとの観測が強まっている。米債市場ではこの日、10年債利回りが3カ月ぶりの水準に沈んだ。

ユーロ/ドルは0.26%高の1.1373ドル。

ドルは円とスイスフランに対しても下落。中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟・最高財務責任者(CFO)逮捕のニュースを受け、米中貿易摩擦を巡る懸念が強まったことで安全資産とされる両通貨に買いが入った。ドル/円は0.4%安。

一方、リスク選好度の低下に伴い、資源国通貨は対ドルで下落。オーストラリアドルは0.47%、ニュージーランドドルは0.32%それぞれ下落した。

米短期債イールドカーブ逆転を受け、リセッション(景気後退)の可能性を巡る懸念が台頭する中、ドルは圧迫されている。

米ダラス地区連銀のカプラン総裁はこの日、CNBCに対し、世界経済が減速すれば、米国も影響を免れないとの認識を示した。

朝方発表された10月の米貿易統計は、赤字が10年ぶりの水準に拡大。トランプ政権による赤字縮小に向けた関税措置が奏功していない可能性を示唆した。

ドルが全面安となっていることで、ポンドは対ドルで0.38%高。ただ、英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)合意案を巡る英議会での採決を来週11日に控え、上値は限られた。

カナダドルは対ドルで下落し、約1年半ぶりの安値を更新。カナダ中銀のポロズ総裁が、経済が予想ほどの勢いに乗っておらず、原油安が成長を押し下げるとの見通しを示したことが材料視された。

<債券> 国債利回りが低下し、10年債利回りは3カ月ぶりの低水準。市場のボラティリティーが高まる中、米経済指標も軟調になっており、来年の米利上げ回数はこれまでの予想より少なくなるとの見方が市場で出ていることが背景。

市場関係者によると、英国のEU離脱を巡る先行き不透明感が払拭されないことに加え、ファーウェイのCFO逮捕を受け、米中の通商問題を巡る緊張が一段と高まるとの懸念も、安全資産としての米国債に対する需要の押し上げにつながったという。

今週に入ってから一部の短期利回りが中期債利回りを2008年初旬以来初めて上回り、景気後退の予兆とされる逆イールドが一部の年限で発生したことで、向こう数カ月で米経済がリセッションに陥るのではないかとの懸念が台頭。利回り曲線は約10年ぶりの水準に平坦化していたが、この日は短期債に対する需要が増したため、利回り曲線は一時ややスティープ化の方向に動いた。

連邦準備理事会(FRB)は18─19日の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げを決定するとの見方が大勢となっているが、CMEグループのフェドウオッチによると、来年の利上げ回数の予想は現在は1回と、1カ月前の2回から減少した。

午後の取引で2年債利回りは6ベーシスポイント(bp)低下の2.763%。一時は2.693%と、9月10日以来の低水準を付けた。

10年債利回りは約5bp低下の2.867%。一時は2.826%と、3カ月ぶりの低水準を付けた。

2年債と10年債の利回り格差は一時2bp拡大。ただその後はほぼ横ばいの11.90bpとなった。4日の取引では9bpと、約10年ぶりの水準に縮小していた。5日はジョージ・H・W・ブッシュ元大統領の死去を受けた「国民追悼の日」のため米債券市場は休場だった。

この日発表の米経済指標では、10月の貿易赤字が10年ぶりの高水準となったほか、11月のADP全米雇用報告の民間部門雇用者の増加数が予想に届かないなど、米経済に対する信頼が高まる結果にはならなかった。

<株式> ダウとS&P500が小幅続落。中国通信機器大手ファーウェイのCFO逮捕を受けて米中貿易摩擦への警戒感が再燃し、不安定な値動きとなったが、日中の安値からは大きく戻して取引を終えた。一部のIT(情報技術)大手やインターネット関連は上昇し、ナスダックはプラス圏で引けた。

FRB当局者が今月のFOMCで予想されている利上げを決定した上で、様子見姿勢のシグナルを送るかどうか検討しているとのウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)報道も相場を支援したもよう。金利動向に敏感な金融株<.SPSY>は1.4%安。

原油価格の下落を受けてエネルギー株<.SPSY>も1.8%安。石油輸出国機構(OPEC)はこの日の総会で減産で暫定合意したが、具体的な減産規模については非加盟国のロシアのコミットメントを得てから決定するとした。

アマゾン・ドット・コムやネットフリックスなど一部のIT、インターネット関連株は上昇した。

<金先物>  世界的な株安を背景に安全資産としての買いが先行したものの、重要イベントを控えて徐々に様子見ムードが広がり、小幅高となった。2月物の清算値は前日比1.00ドル(0.08%)高の1オンス=1243.60ドルとなった。

この日は世界的な株安連鎖の様相を呈する中、投資家らのリスク回避姿勢が強まり、安全資産とされる金には逃避買いが入った。対ユーロでのドル安もドル建てで取引される金塊の相場を支えた。

ただ、4カ月半ぶりの高値圏にある中で利益確定の売りも出やすく、相場の上値は重かった。また、6日夜に予定されるパウエルFRB議長らの講演や翌7日朝方に発表される米雇用統計を控えて、様子見ムードも広がった。

<米原油先物> OPECが産油量の削減で合意したものの、減産量などの詳細はまだ 確定しておらず、6日の正式発表を見送ったとの報を受けて売りが優勢となり、続落。米国産標準油種WTIの中心限月1月物の清算値は前日比1.40ドル(2.65%)安の1バレル=51.49ドル。2月物の清算値は1.42ドル安の51.70ドル。OPECは6日、ウィーンで定例総会を開き、産油量の削減で合意した。減産は来年1月から実施する見込み。ただ、減産量などの詳細はまだ確定しておらず、6日の正式発表を見送った。OPECは7日にロシアなどの非加盟国と拡大会合を開き、協調減産を正式決定する見通しだが、6日の正式発表が見送られたため、売りが優勢となった。また、この日はリスクオフムードが広がって世界的な株安となる中、株と並んでリスク資産とされる原油にも売り圧力がかかった。

ドル/円 NY終値 112.66/112.69

始値 112.78

高値 112.83

安値 112.24

ユーロ/ドル NY終値 1.1374/1.1377

始値 1.1337

高値 1.1412

安値 1.1337

米東部時間

30年債(指標銘柄) 17時05分 104*06.00 3.1577%

前営業日終値 103*26.00 3.1770%

10年債(指標銘柄) 17時05分 102*00.00 2.8919%

前営業日終値 101*23.50 2.9230%

5年債(指標銘柄) 17時05分 100*18.00 2.7533%

前営業日終値 100*11.25 2.7990%

2年債(指標銘柄) 16時59分 99*31.25 2.7620%

前営業日終値 99*28.25 2.8110%

終値 前日比 %

ダウ工業株30種 24947.67 -79.40 -0.32 <.DJI>

前営業日終値 25027.07

ナスダック総合 7188.26 +29.83 +0.42 <.IXIC>

前営業日終値 7158.43

S&P総合500種 2695.95 -4.11 -0.15 <.SPX>

前営業日終値 2700.06

COMEX金 2月限 1243.6 +1.0 <0#GC:>

前営業日終値 1242.6

COMEX銀 3月限 1450.9 ‐7.3 <0#SI:>

前営業日終値 1458.2

北海ブレント 2月限 60.06 ‐1.50 <0#LCO:>

前営業日終値 61.56

米WTI先物 1月限 51.49 ‐1.40 <0#CL:>

前営業日終値 52.89

CRB商品指数 181.3031 ‐2.4493 <.TRCCRB>

前営業日終値 183.7524

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