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英政権、EU離脱案は予定通り11日に採決 延期せず
[ロンドン 6日 ロイター] - 英首相府は6日、欧州連合(EU)と合意した離脱協定案の議会採決を予定通り11日に行うことを明らかにした。一部の議員からは、政権退陣につながりかねない大差での否決を回避する措置を模索すべきとの声が上がっていたが、予定通り採決に踏み切る構えだ。
EU離脱やメイ首相の将来を左右する採決を前に、英議会での離脱案審議は中盤に差し掛かっているが、可決は難しい情勢だ。
英紙タイムズは、主要閣僚が採決での大敗を懸念し、11日の採決を延期するようメイ氏に求めていると報じた。また、一部の議員はメイ政権が採決延期に向け何らかの措置を講じる可能性があるとの見方を示した。
メイ首相の報道官は、採決は予定通り11日に行われると述べた。レッドソム下院院内総務も議会で同様の見方を示した。
与党・保守党の議員委員会「1922年委員会」のブレイディ委員長は、アイルランド国境のバックストップ(安全策)問題をより明確にする時間をメイ氏に与えるため採決を延期すれば、歓迎するとの立場を示した。
ただ専門家からは、採決延期は容易ではないとの指摘も出ている。インスティテュート・フォー・ガバメントのハンナ・ホワイト副所長は、審議が始まった以上、政権が下院の合意なく採決を延期することは難しいとの見方を示した。その上で、院内幹事が手続き上の手段を模索している可能性はあると述べた。
こうした中、一部議員からは離脱案の修正を求める声が上がっており、来週のEU首脳会議でメイ氏がEU側から譲歩を引き出すべきだと主張している。
ただ、EU側の交渉を担うバルニエ首席交渉官は6日、メイ首相との合意案よりも良い案を英国が得ることはできないと強調した。ハモンド英財務相も、離脱案が議会で否決されれば政府が新たな案をEUと交渉できるという考えは「妄想だ」と述べた。
メイ首相はBBCラジオで、議員らの一部がEU離脱を挫折させようとしていると指摘した上で、離脱に関する再度の国民投票実施が進むべき道だとは思わないと強調。「3つの選択肢がある。1つは合意の下でEUを離脱することだ。その他の2つは、合意なしに離脱するか、全く離脱しないかだ」と述べた。
アイルランド国境のバックストップに関しては、譲歩する可能性を示唆した。
バックストップ(安全策)発動を巡り、議会により大きな役割を付与することについて議員らと話していると述べたが、詳細には言及しなかった。
首相は「バックストップ発動をいかに決定するかについては問題がある。自動的なものではないからだ」と指摘した上で、「問題はバックストップを発動するか、実施期間を延長するかだ」と述べた。
また、協定案が否決された場合の「プランB(次善の策)」について繰り返し質問されたが、直接的な回答は避けた。
*内容を追加しました。