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大規模緩和をやめるに至る副作用、顕現化していない=若田部日銀副総裁
[新潟市 5日 ロイター] - 日銀の若田部昌澄副総裁は5日、新潟市で会見し「大規模な金融緩和政策をやめるに至る副作用は顕現化していない」との認識を示した。また、目標としている2%の物価上昇率が中長期的にみて達成できないと考える事態となれば、追加緩和も考慮の一端になる、との考えを示した。
若田部副総裁は「必要があれば、ちゅうちょなく追加緩和をすべきだという考え方は変わっていない」と述べた。追加緩和が必要になるのは、どういう時かについては「物価安定2%への道が非常に遠のいてしまうことが一番懸念される状態だが、その辺の持続性や長期的な見通しも踏まえて、追加緩和すべきかは判断すべき」と述べた。さらには「2%の物価安定目標をできるだけ早期に達成するという枠組みの中で動いており、中長期的にみて達成できないと考える事態に至れば、追加緩和も考慮の一端にならなければいけない」とした。
追加の金融緩和を行う余地については「その余地はある」としたうえで「それを具体的に明らかにするのは適切ではない」としコメントを控えた。
また、物価の下振れリスクに関しては「下方リスクを認識しているが、何かと比較して(自身が)重くみている、深刻にみているということではない」とした。午前中に行った講演のなかで、副総裁は「経済への下押し圧力があると、デフレに戻ってしまうかもしれない」と発言していたが、「講演の趣旨は原点に立ち戻ること。2%が遠い中で、下押し圧力があった中でデフレに戻ってしまう危険性があることを再確認した」と説明した。
日銀は、金融機関への影響などの金融緩和政策の長期化による副作用についても点検を行っているが、若田部副総裁は「現状で金融政策がもたらしてきた効果を覆すような副作用が顕現化しているとは考えていない」と明言した。
副総裁は「金融政策が生み出している成果があり、経済全体が良くなっているとの確信はある」と指摘。そのうえで「副作用が急激に大きくなって、金融仲介機能が急激に機能不全に陥るとなれば、金融政策伝達に大きな障害が起き得るが、その可能性は現状極めて少ない」とし、「物価上昇率2%達成に向けて、現時点で障害になっているとは考えていない」と述べた。
地域金融機関に対しては「経営の合理化や高質化の努力だったり、組織体制の見直しなど、大きな意味での経営努力が必要になってくる。各地域のニーズをいかに掘り起こすかの目利きの力が必要になる」と指摘した。
米国市場における長短金利の逆イールドについては「一般的に言って、逆イールドが必ずしも景気後退をもたらすという関係はない」と述べた。
(清水律子)