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仏燃料税引き上げ、6カ月延期 大規模な抗議活動受け
[パリ 4日 ロイター] - フランスのフィリップ首相は4日、来年1月1日から施行する予定だった燃料税の引き上げについて、大規模な抗議活動の発生を受け、施行を6カ月延期すると表明した。マクロン政権発足後、初の大きな政策転換となる。
フィリップ首相はテレビ演説で「黄色いベストを着た人々は撤回を求めている」と述べ、国民を説得できなければ、修正が必要とした。
首相は、燃料税引き上げを見送る6カ月の間にワーキングプアを支援するための施策を検討すると説明した。
これに先立ち、政府関係者からは最低賃金引き上げの可能性が示されていた。しかし、首相は具体的な措置に言及していない。
一方で、税負担を軽くすれば、政府支出を減らさなくてはならず、より良い公共サービスは期待できないとも指摘し、歩み寄りが必要と主張した。
政府関係筋は、燃料増税延期により約20億ユーロ(23億ドル)の負担が発生するが、歳出削減で相殺すると述べた。
11月17日から始まった「黄色いベスト」運動と呼ばれるデモは、3週間の間に広がりをみせ、大規模な「反マクロン」運動に発展し、死傷者も出ている。
増税延期の発表を受けてデモが収まる兆しはほとんど見られない。トラック運転手が加盟する2つの労働組合は、9日からのスト実施を呼びかけた。フェイスブック上でも複数のページで8日に新たなデモを行うことを呼びかけている。
マクロン大統領は経済再生や改革、海外からの投資誘致などを掲げて2017年半ばに就任した。だが就任後は、大企業や富裕層を優遇しているとの不満が労働者の間で高まった。
大統領の支持率が低下する中、労働者の不満や政権の方向転換が野党への支持拡大につながる可能性もある。
来年5月の欧州議会選を前に、マリー・ルペン氏率いる極右勢力やジャンリュック・メランション氏率いる急進左派への支持が高まっている。
*内容を追加します。