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メイ首相の離脱案で経済打撃抑制、英政府が分析 議会強く反発
[ロンドン 28日 ロイター] - 英政府は28日、欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)に伴う経済影響評価を公表した。合意なき離脱なら経済に大打撃を与え、メイ首相の離脱案なら打撃は最小限に抑えられると説明した。
政府の分析によると、メイ首相とEU首脳が合意した離脱案に類似したシナリオでは、15年後の国内総生産(GDP)は、EUに残留した場合より2.1%少なくなる。
合意なく離脱した場合は7.7%下回る。これらの予想は、移民関連規則の変更がなく、一定の非関税障壁が導入されることを前提とした。
EUからの移民が将来、差し引きゼロになると仮定した場合、経済への影響はメイ氏の離脱案のもとで3.9%、合意なき離脱のケースでは9.3%と試算した。
合意なき離脱となれば、英国内の自動車や化学製品部門が最大の損失を被る恐れがあると指摘した。
メイ氏は「政府の分析は、われわれが交渉した離脱案が雇用と経済にとって最善の合意で2016年の国民投票の結果に沿うものであることを示した」と述べた。
ハモンド財務相は、経済にとって、EUに残留する場合と同程度に良い離脱オプションはないとしながらも、メイ氏の離脱案は「残留による経済的恩恵に非常に近い結果をもたらす」と述べた。
来月11日の離脱協定案を巡る議会採決を前に、メイ氏の協定案への反対を取り下げるよう、政府が議員を脅している事実はないとも発言。BBCテレビで「私は誰も脅そうとはしていない。人を脅して不安に陥れるといった言葉を私は受け入れない」と語った。
メイ氏の離脱案には、与党・保守党や他党内で強い反発の声が上がっている。
離脱反対派は、自国や国民が繁栄するとの説明が今回の分析結果で説得力を失ったと指摘。野党・労働党の議員は「EU残留の方が暮らし向きが良くなると、財務相が今朝になってようやく認めた」と語った。
またブレグジット賛成派は、メイ氏の離脱案で高成長を遂げる欧州域外の国・地域との貿易協定締結がより困難になり、長期間にわたって自国経済に悪影響が生じるなどと主張した。今回の分析結果で、議員らの考えが変わるかも明らかでない。
英中銀も、離脱の影響評価を1630GMT(日本時間29日午前1時30分)に公表する。