社会民主主義モデルが北欧を豊かにしたというのは、ただの幻想

2019年7月24日(水)17時15分
ニーマ・サナンダジ(ヨーロッパ起業・政策改革センター代表)

より基本的なポイントとして、北欧諸国は社会民主主義的な政策を導入する前に、既に豊かで平等な社会を築いていたことも忘れてはならない。例えば、北欧諸国の平均寿命と乳幼児死亡率の低さは、1970年の時点で既に世界の上位にあった。経済学者のアンソニー・バーンズ・アトキンソンらの論文によると、ノルウェーとスウェーデンにおける所得格差の大部分は、1970年代以降に生まれた。

むしろ現在の北欧諸国は、社会民主主義の欠点が明らかになるにつれて、政府の介入を縮小する方向に動いている。税金はまだ高いが、市場経済のルールが導入され、多くの国有企業が民営化され、社会保障は縮小されつつある。

北欧モデルの導入を唱える世界の人々は、実際の北欧の国々がどこに向かっているか、よく目を凝らして見たほうがいい。

From Foreign Policy Magazine

<本誌2019年7月30日号掲載>


※7月30日号(7月23日発売)は、「ファクトチェック文在寅」特集。日本が大嫌い? 学生運動上がりの頭でっかち? 日本に強硬な韓国世論が頼り? 日本と対峙して韓国経済を窮地に追い込むリベラル派大統領の知られざる経歴と思考回路に迫ります。


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