コラム

「患者らしく」より「自分らしく」 株式会社TOKIMEKU JAPAN塩崎良子さん

2016年08月30日(火)16時00分

Ryoko Shiozaki

<ファッションバイヤーとして世界を飛び回っていた30代前半の時に乳癌の告知を受け、治療の副作用で「キラキラした」自分も失わなければならなかった癌サバイバーが、お洒落で思いやりのこもった癌患者向けのお見舞いギフトボックスを作った。辛い経験から学んだこととは?> 

 塩崎良子さん(35)が乳がんで入院したときのこと。多くの友人が見舞いに来てくれ嬉しかったが、癌になると生活が変わり、せっかくいただいたお見舞い品を使うことができなかったという。癌サバイバーだからこそ分かる、癌患者に必要なお見舞い品。株式会社TOKIMEKU JAPANを経営する塩崎さんは、癌患者に贈る最高にお洒落でハートフルなお見舞いギフトボックス『TSUNAGU-BOX』を9月2日よりクラウドファンディングでリリースする。

 ギフトボックスの中には患者さんが本当に欲しいと思う厳選した商品と、患者さんを想う気持ちを詰め込むつもりだ。

【参考記事】「支える人を支えたい」慢性疾患の重症化予防ベンチャーに参画した研究者 小坂志保 

 例えば、癌の経験者や医師からのはげましの言葉が入った冊子や、抗ガン剤治療で髪の毛が抜けた際にかぶるおしゃれなケア帽子などだ。「癌患者のケア用品って、全然おしゃれじゃないんです」。ケア帽子はアパレル会社と提携して、デザインと品質に徹底的にこだわって製作した。癌になっても自分らしくあってもらいたいんです」と塩崎さんは言う。「患者さんが、周りの人たちがギフトボックスに詰めた想いを受け取って、その想いを、辛い治療をを乗り越えるエンジンにしてもらえればいいなと思っています」。

キラキラしていたのに

 塩崎さんは小さなころから、おしゃれが大好きな少女だった。大人になったらセンスと感性を生かす仕事をしたい。そう考えていた。社会に出てからは、ファッションバイヤーとして世界を飛び回ったあと自ら起業し、セレクトショップやレンタルドレスショップを自ら経営した。乳癌の告知を受けたのは、自分の夢が叶いつつある、キラキラとした人生のまっただ中だった。

【参考記事】抗酸化物質は癌に逆効果? 

 目の前が白黒の世界になった。どうして自分にこんな運命が押し寄せたんだろう。

プロフィール

湯川鶴章

AI新聞編集長。米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業。サンフランシスコの地元紙記者を経て、時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続ける。通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立。2017年12月から現職。主な著書に『人工知能、ロボット、人の心。』(2015年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(2007年)、『ネットは新聞を殺すのか』(2003年)などがある。趣味はヨガと瞑想。妻が美人なのが自慢。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ドル34年ぶり155円台、介入警戒感極まる 日銀の

ビジネス

エアバスに偏らず機材調達、ボーイングとの関係変わら

ビジネス

独IFO業況指数、4月は予想上回り3カ月連続改善 

ワールド

イラン大統領、16年ぶりにスリランカ訪問 「関係強
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 2

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 3

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の「爆弾発言」が怖すぎる

  • 4

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 5

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 6

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 7

    イランのイスラエル攻撃でアラブ諸国がまさかのイス…

  • 8

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 9

    マイナス金利の解除でも、円安が止まらない「当然」…

  • 10

    「なんという爆発...」ウクライナの大規模ドローン攻…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 10

    ダイヤモンドバックスの試合中、自席の前を横切る子…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story