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パリのカフェのテラスから〜 フランスって、ホントはこんなところです

RIKAママ|フランス

登録者数1200万人のフランスの大人気ユーチューバーの未成年者レイプの大スキャンダル

登録者数1200万人のフランスの大人気ユーチューバーのまさかのレイプ事件で身柄拘束         イメージ画像 pixabay

今やYouTubeは、生活に欠かせないといってもいいほどの存在になり、それを発信する側のユーチューバーも絶大な知名度と影響力を持つスターなみの存在として、これまでの映画やテレビなどの媒体とは別の場所で堂々と君臨する存在になっています。

そんなユーチューブ界隈でフランスでは第3位の存在と言われるノーマン(Norman Thavaud)が、複数の10代の少女や若い女性を巻き込んだ未成年者強姦の容疑でパリ検察庁に身柄を拘束されたという衝撃的なニュースが12月に入ってからセンセーショナルに報道され、その行方を見守っています。

ノーマン("Norman fait des vidéos ")はフランスのユーチューバーの中でもインターネットとともに成長したユーチューブ第一世代の象徴といわれる存在で、シプリアン、ミスターV、ヒューゴ・トゥ・スールらと同様、日常生活のありふれた出来事をインターネットやYouTubeのコードに適応させたスケッチ・コメディである「ポッドキャスト」のパイオニアでもあります。10年以上の活動で、彼のチャンネルは約1200万人の登録者と累計27億回の再生回数を誇るまでに成長しました。

彼がパリ検察庁に身柄を拘束されたのは、未成年者を含む複数の女性に対しての暴行・レイプ容疑で、事の発端は、フランス第1位のユーチューバーSqueezieが「特定のユーチューバーが若い女性登録者の心理的脆弱性につけこんで性行為を強要する不適切行為を行っていること」を非難する内容のツイートをしたことがきっかけで、彼の名前が浮上し始めたことから始まりました。

ネットによる訴えで露見し始めた彼の行状

今回の告発の中で、最も中心に挙げられているのは、2020年夏、ケベック州のファンで事件当時16歳だった少女が、以前にSnapchatで送られてきた性的な内容の写真や動画を操作され、心理的コントロールを受けて、憧れてもいたこのユーチューバーの罠にはまってしまったことをInstagramで告発したことから始まり、その後、ノーマン絡みの、この少女と同じような体験をした若い女性30人ほどから連絡があったことを発表されています。被害者候補はすでに裁判所から事情聴取を受けており、ほぼ全員がレイプされた可能性があるとみられており、そのうち2人は事件当時、未成年であったと発表されています。

パリ市警察庁と、そのBPF(家族保護機関)は数カ月前から、複数のシナリオを照合して捜査を開始し、少なくとも6人の被害者から事実確認を行ってのうえでの今回の身柄拘束に繋がっていたようで、彼の身柄が検察庁に拘束された時点で、ことはさらに公になり、次から次へとさらに被害者が申し出を始めるという深刻な事態になっています。

恋愛事情に関しては、かなり寛容なフランスではありますが、それが性的な暴力事件であったり、ましてや相手が未成年であったりする場合には話は全く違うことになります。

今回の事件に対するYouTube側の制裁

今回の彼の強姦事件容疑の身柄拘束を受け、フランスで最も重要なYouTubeチャンネルを制作しているウェブディア(Webediaグループ)は、即日「ユーチューバーのNorman Thavaudとのコラボレーションを停止する」と発表し、さらなる波紋が広がるのは必須と見られていました。

しかし、検察庁の取り調べで彼自身は涙ながらに、陰謀にはめられたとか、相手の女の子があまりにも熱狂的、情熱的だったとか、犯行の事実を否認していると報じられ、結局、48時間の身柄拘束は延長されないどころか、彼は36時間で、起訴されないまま解放されていました。しかし、身柄の拘束は解かれたものの、彼の身の潔白が証明されたわけではなく、今後も捜査は継続して行われるということで彼の疑惑はグレーなまま、裁判を待つことになったのです。

彼の身柄拘束から約1週間後、Googleプラットフォームは、未成年者へのレイプと汚職で捜査中のユーチューバーのチャンネルから広告を剥奪する制裁を決定しました。YouTubeは彼の逮捕劇が発覚して以来、彼への対応を慎重に検討しており、ようやくこの制裁を決定したのです。

YouTubeの広報担当者は、「私たちは、あらゆる形態のセクシャルハラスメントを容認できないと考えています。YouTube動画の内外を問わず、クリエイターの行動が、ユーザー、コミュニティ、エコシステムに害を与えていると判断した場合、被害者を保護するための措置を講じます。」と発表し、現段階での措置は、「無期限での広告剥奪」ですが(動画を公開することはできる)、今後の捜査の進行の結果如何で、また、不適切な事実が確認された場合は、当該アカウントを閉鎖する場合もあるとしています。

つまり、彼のコンテンツは今のところ、見ることはできますが、それに対する広告収入は発生しないという段階にとどめられているので、現段階では、彼のチャンネルを閉鎖するという究極の措置にまでは至っていないということです。

なにしろ、これまでの再生回数27億回という彼の広告収入がストップするのですから、彼の周囲も含めて大変な打撃を被ったことには、違いありませんが、これが一時的な打撃で終わるかどうかは、大いに疑問が残るところでもあります。YouTubeが広告剥奪の制裁を発表した時点では、後に続く被害者の声が多数、上がり続けていましたが、彼に対する正式な告訴は6件提出されていました。

7件目の告訴状

彼の身柄拘束後、YouTubeが彼に対する制裁を発表し、このまましばらく、捜査の行方を見守り、少しはこの騒動も落ち着くかと思われていた矢先に、つい先日、7件目の訴状が提出され、再び、彼が捜査当局に呼び出され、新たな告訴人と対峙することになったという報道が浮上し、最初の時ほどではありませんが、再び衝撃が襲っています。ここまで行くと、これから芋づる式に次から次へと被害者が名乗りを挙げて、告訴状が山積みになっていくかもしれないと思ってしまいます。

7件目の被害者は、新聞に掲載された彼女の説明によると、「彼女は2015年にナンシーのフナックで開催されたサイン会でノーマンと出会い、その後プライベートメッセージでやりとりが始まり、これがやがて、合意のない関係へと発展していった」というものです。

こうなってくると、彼のコンテンツや行状は過去に遡って、根掘り葉掘り見直しされることが始まるわけで、以前に彼が投稿したジョークが黒人・人種差別・女性差別であるという不評までが再燃しています。

ネットに始まり、ネットで終わる

ここまでくると、彼のユーチューバーとしての再起はかなり難しいものになると思われますが、そもそもインターネットの第一世代としてのし上がってきた彼が、ネットによる被害拡散によって、その地位を追われるということも皮肉なことです。ネットの拡散力、影響力の恩恵を誰よりも受けてきた彼が彼自身の行状がネットに晒されないと甘く考えていたことは大変、不覚なことです。

しかし、考えてみれば、ユーチューバーというのは不思議な存在で、かつて言われた雲の上の存在である銀幕のスターなどとは違って、どこか視聴者とも近い存在に感じられることもあるのも事実です。メッセージなどを通じて、実際にアクセスしようと思えば、それが可能であるような感じを抱かせるのも事実で、実際に発信者の意思があれば、繋がることもできてしまう、以前にはなかった媒体の有名人です。だからといって、それを逆手にとって、やりたい放題ということはあり得ないのですが、このようなスキャンダル、交際に発展しても、同意があってのことならば、問題はないかもしれませんが、それがこうもたくさん、被害者だと名乗りをあげる人が出てくるのでは、収拾がつきません。

人気者であればあるほど、また、善良だと思われていればいるほどスキャンダルには、大きな痛手を被るとはいえ、これが事実であれば、犯罪です。まだ若干35歳の彼は、過去10年を遡るとすれば、遊びたい盛りだったかもしれないし、あっという間に時代の寵児のようになり、巨額の富を得て、我を失っていたかもしれません。

YouTubeがフランスでこのような制裁措置に踏み切ったのは、今回が初めてではなく、同プラットフォームによると、2020年に1件、2021年1件のチャンネルを同様の理由で閉鎖しています。ただ、彼ほどの大物ではなかったために、そんなに騒ぎにはならなかったようです。今回の事件は、今後のユーチューバーと視聴者の適切な距離感を見直す双方にとっての戒めとなるかもしれません。

そんな彼が日本を紹介する動画も作っていたので参考のために貼っておきます。

           

 

Profile

著者プロフィール
RIKAママ

フランスって、どうしようもない・・と、日々感じながら、どこかに魅力も感じつつ生活している日本人女性。日本で約10年、フランスで17年勤務の後、現在フリー。フランス人とのハーフの娘(1人)を持つママ。東京都出身。

ブログ:「海外で暮らしてみれば・・」

Twitter:@OoieR



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