エジプトがまた新都市構想を発表、カイロ西部に人工水路を引く...得をするのは一体誰?

新都市ジリアン近くに建設された大エジプト博物館 ANTOINE LORGNIERーHANS LUCASーREUTERS
<「ジリアン」と呼ばれる新都市の建設は、シシ大統領の巨大プロジェクトの一環とされており、他にも回路東部に新行政首都建設の計画もあるが...>
カイロ西部の砂漠地帯に人工水路を引き、総面積6.8平方キロの新都市「ジリアン」を開発する──エジプト政府が今月初めに発表した構想が物議を醸している。
これはシシ大統領が進める巨大プロジェクトの一環で、ほかにカイロ東部での590億ドル規模の新行政首都建設、モノレール計画、高速鉄道、複数の高級都市開発計画などが進行している。
エジプト政府はこうした事業が長期的な経済成長を牽引すると主張するが、財源となる対外債務は膨れ上がる一方だ。また、政権による統制力の強化や、軍と関係のある企業の利権拡大に利用されているとの批判もある。
エジプト経済はIMF主導の改革によって上昇傾向にあるが、シシ政権が派手なプロジェクトへの支出を抑制できなければ成長の足かせとなりかねない。実際、エジプトの債務返済負担は既に国家支出の50%を超えており、今後さらなる財政悪化を招く恐れも指摘されている。

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