最新記事

事件

インドネシア、イスラム教寄宿舎で聖職者が女子生徒13人に暴行8人が妊娠 終身刑に世論や検察は極刑求め控訴

2022年2月25日(金)13時00分
大塚智彦
女子生徒を暴行、妊娠させたヘリー・ウィラワン被告

女子生徒を暴行、妊娠させたヘリー・ウィラワン被告 metrotvnews / YouTube

<極悪非道の宗教指導者に人権の配慮は必要なのか......>

世界最大のイスラム教徒人口を抱えるインドネシアでイスラム教の教育施設である「寄宿舎(プサントレン)」の経営者で聖職者でもある男性が寄宿舎で生活する女子生徒を次々と性的暴行し、複数の女子生徒が妊娠してしまう、という事件が起きた。

この男性は警察に逮捕され、訴追を受けて終身刑の判決を受けたが、被害にあった女子生徒やその親族からは死刑を求める声が出ていることを重視した検察側が死刑を求めて控訴する事態になっている。

インドネシア・ジャワ島西ジャワ州の警察は2021年5月から着手した捜査の結果、州都バンドンにあるプサントレンの経営者で宗教指導者でもあるヘリー・ウィラワン被告(36)を児童保護法違反、婦女子暴行の容疑で逮捕した。

その裁判の過程で次々とヘリー被告の犯行が明らかになり、裁判の様子を伝えるマスコミを通じて国民はその実態を知らされることになった。

13人に性的暴行、9人が妊娠

事件は寄宿舎で寝起きする女子生徒の一人が妊娠していることに親が気が付いたことから発覚。娘を問いただしたところ、ヘリー被告の犯行が浮上、そして警察が捜査したところ2016年以降、教え子である女子生徒の少なくとも13人がヘリー被告から性的な暴力を受けていたことが明るみになった。

犯行は寄宿舎内やホテルの部屋で行われていたもので、女子学生らは「羞恥心」や「教師への恐れ」などから性的暴行の事実を口外することができなかったという。

警察が事件を認知したのは2021年5月のことで、被害に遭った女子生徒は事件当時11〜16歳。うち8人が妊娠し、1人は2回出産し合計9人の赤ちゃんが生まれたという。

生まれた赤ちゃんをヘリー被告は人身売買組織に売って犯行を隠ぺいしようとしたともいわれ、自己中心的な犯行が明らかになっている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中独首脳会談、習氏「戦略的観点で関係発展を」 相互

ビジネス

ユーロ圏貿易黒字、2月は前月の2倍に拡大 輸出が回

ビジネス

UBS、主要2部門の四半期純金利収入見通し引き上げ

ビジネス

英賃金上昇率の鈍化続く、12─2月は前年比6.0%
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 2

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無能の専門家」の面々

  • 3

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 4

    大半がクリミアから撤退か...衛星写真が示す、ロシア…

  • 5

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 6

    韓国の春に思うこと、セウォル号事故から10年

  • 7

    キャサリン妃は最高のお手本...すでに「完璧なカーテ…

  • 8

    中国もトルコもUAEも......米経済制裁の効果で世界が…

  • 9

    中国の「過剰生産」よりも「貯蓄志向」のほうが問題.…

  • 10

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体は

  • 3

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入、強烈な爆発で「木端微塵」に...ウクライナが映像公開

  • 4

    NewJeans、ILLIT、LE SSERAFIM...... K-POPガールズグ…

  • 5

    ドイツ空軍ユーロファイター、緊迫のバルト海でロシ…

  • 6

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 7

    ロシアの隣りの強権国家までがロシア離れ、「ウクラ…

  • 8

    金価格、今年2倍超に高騰か──スイスの著名ストラテジ…

  • 9

    ドネツク州でロシアが過去最大の「戦車攻撃」を実施…

  • 10

    「もしカップメンだけで生活したら...」生物学者と料…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 7

    巨匠コンビによる「戦争観が古すぎる」ドラマ『マス…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中