最新記事

教育

生涯学習の場へと変わりつつある日本の大学院

2021年11月24日(水)11時45分
舞田敏彦(教育社会学者)
生涯学習イメージ

多様性のなかでイノベーションは生まれる designer491/iStock.

<学生からは敬遠されてきている博士課程だが、社会人が占める割合は大きく伸びている>

今年は、日本人のノーベル物理学賞受賞が決まった(真鍋淑郎氏、国籍はアメリカ)。大変な快挙で、イノベーションを起こせる知的人材が社会の発展には不可欠だ。その候補となるのは博士号取得者だが、日本では数が少ない。人口あたりの博士号取得者数は欧米の半分以下で、他国とは反対に減少の傾向すらある。

その背景要因として、学位取得後も不安定な非正規雇用(非常勤講師、研究員など)しかなく、大学院博士課程が敬遠されているからではないか、と言われている。実態はまさにそうで、統計で見ても博士課程入学者は2003年の1万8232人をピークに減少に転じ、2020年は1万4659人となっている。20年弱で2割の減少だ。博士号を取っても行き場がないことが知れ渡っているためだろう。

だが、大学院入学者は20代前半の若者だけではない。年輩の社会人もいるし、最近は留学生も増えている。博士課程入学者数がどう変わったかを、一般学生、社会人、留学生、という3つの群に分けてみると<図1>のようになる。

data211124-chart01.jpg

上述のように、入学者の総数はピークの2003年から2020年にかけて2割減った。だが減少幅が大きいのは一般学生で、修士課程からストレートで上がってくる学生はこの期間で半減している(1万1637人→5703人)。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中国ファーウェイ、自動運転ソフトの新ブランド発表

ビジネス

円債中心を維持、クレジットやオルタナ強化=朝日生命

ビジネス

日経平均は3日続伸、900円超高 ハイテク株に買い

ワールド

柏崎刈羽原発6・7号機、再稼働なら新潟県に4396
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 2

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 3

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の「爆弾発言」が怖すぎる

  • 4

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 5

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 6

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 7

    イランのイスラエル攻撃でアラブ諸国がまさかのイス…

  • 8

    「なんという爆発...」ウクライナの大規模ドローン攻…

  • 9

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 10

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 10

    ダイヤモンドバックスの試合中、自席の前を横切る子…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中