最新記事

動物

「骨タイプのおやつ」で死亡する犬が急増 米政府機関が警告

2017年11月29日(水)17時20分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

写真はイメージです。 Chalabala-iStock.

<あなたの与えたおやつが、愛するペットの命を奪うかもしれない>

米食品医薬品局(FDA)は先ごろ、犬用おやつが起因する死亡例を確認し、特定のおやつが致命傷を負わせる可能性を指摘した。

そのおやつとは「骨」タイプのもの。犬が喜んで噛り付くイメージのあるおやつだが、FDAによると2016年に15匹の犬が、骨を加工したおやつや表面を骨でコーティングしたおやつを食べて死亡した。このほか約70匹が病気になったという。2015年には8匹だった死亡数はほぼ2倍に増えた。

報告によると、「骨」タイプのおやつを食べた犬は、嘔吐、窒息、さらに胃で消化不良を起こした。犬はよく噛んでいるように見えても、実際は破片になった骨を消化しきれていないそうだ。おやつに生えるカビも問題という。

FDAは特定の銘柄を公表していないが、本誌米国版ウェブは犬の健康にダメージを与える製品に「ハムボーン」、「豚の大腿骨」、「ろっ骨」、「スモーキーナックルボーン」と呼ばれるものを挙げている。防腐剤や調味料、燻製といった加工が施された製品を指す。

ちなみにこれらのおやつが過去にリコール対象になったことはない。

ホリデーシーズンは危険がいっぱい!?

「骨」タイプのおやつ自体にも問題はありそうだが、そもそも「人々がペットのおやつに注意していないこと」が良くない。

ジャーキータイプのおやつがいい例だ。FDAによれば2015年に1000匹以上の犬が死亡し、6000匹以上が摂取後に病気になったという。当時FDAは、病気の原因を中国から持ち込まれたものだとしながらも、「飼い主は、ペット用おやつのメーカーが自社製品に使用した原料の原産国記載を義務付けられていないことを認識しておくべき」と飼い主に注意を促していた。

おやつではないが、猫もおもちゃの誤飲で命を落とす可能性がある。ティンセル(細いビニール製のカラフルな糸)とリボンは特に危ない。素材のビニールは猫の胃にダメージを与える。クリスマスシーズンに目にする機会の増えるポインセチアは猫に毒性があることで知られている。

12月の連休を控えFDAは、大切なペットを守るためのアドバイスを送っている。それは、「すべての鶏肉と七面鳥の骨に注意を払うこと」。鶏の骨は脆く簡単に砕けて犬の健康障害を引き起こすため、食卓、カウンター、ごみ箱に放置するのは避けるよう呼びかけている。

ペットに「安全」をプレゼントする方法をもうひとつ。FDAは、獣医師に相談して自分のペットに合ったおもちゃやおやつを見つけることを勧めている。

目の前に迫った年末シーズン、大切な家族の一員の健康についてゆっくりと考えてみてはいかがだろうか。


【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!
気になる北朝鮮問題の動向から英国ロイヤルファミリーの話題まで、世界の動きを
ウイークデーの朝にお届けします。

ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=続伸、マグニフィセント7などの決算に

ワールド

イスラエル、ガザ全域で攻撃激化 米は飢餓リスクを警

ワールド

英、2030年までに国防費GDP比2.5%達成=首

ワールド

米、ウクライナに10億ドルの追加支援 緊急予算案成
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 2

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の「爆弾発言」が怖すぎる

  • 3

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親会社HYBEが監査、ミン・ヒジン代表の辞任を要求

  • 4

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 5

    「なんという爆発...」ウクライナの大規模ドローン攻…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    ロシア、NATOとの大規模紛争に備えてフィンランド国…

  • 9

    イランのイスラエル攻撃でアラブ諸国がまさかのイス…

  • 10

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 7

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 8

    ダイヤモンドバックスの試合中、自席の前を横切る子…

  • 9

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 10

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中