最新記事

日本社会

日本の大卒女性の正社員率は、母親世代では中東レベルの低さ

2017年11月1日(水)16時30分
舞田敏彦(教育社会学者)

日本の生産性の低さは高学歴女性の能力が活用されていないこととも関連しているかもしれない Tempura-iStock.

<大卒女性の正社員比率は30代以降に急落し、子育て世代では中東諸国と同レベルにまで低下する>

1960年代の初頭に「女子学生亡国論」という議論があった。女子はどうせ家庭に入るのだから、税金を費やして高等教育を受けさせるのは国の滅亡につながる、という趣旨だ。

高等教育には費用がかかるので、社会の機能的な必要性と無関係にむやみに膨張させるわけにはいかない。大学に進学する費用(学費・時間)を勘案してペイするかどうかは個人の関心事だが、社会の側は国費を投じて育成した大卒人材が社会に貢献してくれるかどうかが関心事だ。

冒頭の「女子学生亡国論」は過激な議論だが、日本の大卒女性の就業率はどれくらいなのか。<図1>は、正社員として勤務している大卒女性の割合の年齢カーブだ。

maita171101-chart01.jpg

卒業して間もない20代前半では男女とも同じくらいだが、年齢が上がるにつれて乖離していく。同じ大卒でありながら、女性はどんどん非正規(無職)に追いやられる様が見事に描かれている。

「女子はどうせ家庭に入る」という一般的な傾向があるのは事実だが、それは決して自発的なものではないだろう。結婚・出産・介護といった家庭の事情に起因していることは明らかだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

英利下げはまだ先、インフレ巡る悪材料なくても=ピル

ビジネス

ダイハツ社長、開発の早期再開目指す意向 再発防止前

ビジネス

ECB、利下げ前に物価目標到達を確信する必要=独連

ワールド

イスラエルがイラン攻撃なら状況一変、シオニスト政権
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 2

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の「爆弾発言」が怖すぎる

  • 3

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親会社HYBEが監査、ミン・ヒジン代表の辞任を要求

  • 4

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 5

    「なんという爆発...」ウクライナの大規模ドローン攻…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    ロシア、NATOとの大規模紛争に備えてフィンランド国…

  • 9

    イランのイスラエル攻撃でアラブ諸国がまさかのイス…

  • 10

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 7

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 8

    ダイヤモンドバックスの試合中、自席の前を横切る子…

  • 9

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 10

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中