最新記事

ブレグジット

英国が離脱清算金でEUに譲歩、近く合意か 他の2項目の交渉巡り懸念も

2017年11月30日(木)16時32分

 11月29日、英国の欧州連合(EU)離脱に向けた交渉で、バルニエEU首席交渉官(写真)は、離脱清算金を巡る英国との合意を今後数日中にEUに報告できるよう望んでいると語った(2017年 ロイター/Hannibal Hanschke)

英国の欧州連合(EU)離脱に向けた交渉で、バルニエEU首席交渉官は29日、ベルリンで開かれた会議で、離脱清算金を巡る英国との合意を今後数日中にEUに報告できるよう望んでいると語った。

また、英国がEU側の要求(600億ユーロ)に近い500億ユーロ前後を支払う意向を示し、EU側がこれをおおむね承諾したとする英紙の報道についてロイターの記者に問われると「そこまで至っていない」と回答。交渉が継続中であることを強調した。

メイ英首相の報道官はこの報道について「憶測」だと述べた。ただ、多くのEU当局者は今回の報道は英政府関係者が情報源とみている。

アイルランドのフィル・ホーガン欧州委員は、英国は「英国以外のEU加盟27カ国の要求にかなり見合った提案を示した」と述べた。

英国はEUとの一連の交渉で、2019年のEU離脱後の貿易条件に関する協議入りを望んでいるが、EU側は離脱交渉の3つの重要項目である、離脱清算金の支払い合意、在英EU市民の権利保証、アイルランド国境問題の解消を優先すべきと求めてきた。

EUのバルニエ首席交渉官は、3項目を巡る協議は続いているとし、12月14─15日のEU首脳会議で、英国との交渉を貿易条件などの次の段階に進めるのに「十分な進展」があったと報告できるよう望んでいると述べた。

交渉官は12月4日にメイ首相および欧州委員会のユンケル委員長と会談する予定。メイ首相は12月のEU首脳会議で離脱交渉の進展が認められるためには、4日が3項目に関する提案を示す「最終期限」としている。

複数のEU外交官はロイターに対し、英国側がここ数日の間に、離脱後のEU分担金などの支払いを口頭で約束したと明らかにした。

一方、離脱清算金を巡る合意によって他の2つの重要項目の交渉で、英国が要求を強める可能性を懸念する声もある。

[ブリュッセル 29日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2017トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!
気になる北朝鮮問題の動向から英国ロイヤルファミリーの話題まで、世界の動きを
ウイークデーの朝にお届けします。
ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

スイス中銀、第1四半期の利益が過去最高 フラン安や

ビジネス

仏エルメス、第1四半期は17%増収 中国好調

ワールド

ロシア凍結資産の利息でウクライナ支援、米提案をG7

ビジネス

北京モーターショー開幕、NEV一色 国内設計のAD
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 3

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令

  • 4

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 5

    マイナス金利の解除でも、円安が止まらない「当然」…

  • 6

    ワニが16歳少年を襲い殺害...遺体発見の「おぞましい…

  • 7

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 10

    ケイティ・ペリーの「尻がまる見え」ドレスに批判殺…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 5

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中