最新記事

中国共産党

集団指導体制は保たれるのか?──新チャイナ・セブン予測(4)

2017年10月13日(金)17時30分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

習近平国家主席 Tyrone Siu-REUTERS

巷では、習近平政権二期目では果たして集団指導体制を維持するのか否かといった疑問が飛び交っている。憲法でも党規約でも明記されている「民主集中制」を中心に考察する。

民主集中制――ロシア革命からの伝統

共産主義には、1917年にレーニンが起こしたロシア革命以来の伝統があり、ソ連共産党も途中からだが「民主集中制」という制度を採用していた。民主集中制というのは、数名の共産党中央書記処書記(現在の中央委員会政治局常務委員)が「集中して党を指導し、必ず"少数は多数に従がう"という多数決で政策を決議する」という大原則である。

これを集団指導体制と称する。

ソ連のコミンテルン(共産主義インターナショナル)によって誕生した中国共産党もまた、1928年から民主集中制による集団指導体制を採用してきた。

その人数は5人であったり7人であったり、はたまた9人であったりなど、多くの歴史を経てきたが、奇数であるのは「多数決議決」をした時に、意見が半々に割れないようにするためである。

憲法にも党規約にも明記

この「民主集中制」と「集団指導体制」という言葉は、モスクワで開かれた中国共産党第6回党大会において党規約に明記されたものであり、中華人民共和国誕生以降は中華人民共和国憲法にも明記されている。

すなわち、党と政府の根幹を成す国家の背骨に相当する原則だ。

これを変えて、「集団指導体制」から「習近平一人による独裁」に移り変わっていくというシナリオは、天変地異の大変動と言わねばならず、党規約だけでなく、憲法も改正しなければ実現できない発想である。

もっとも、旧ソ連のスターリンや中国の毛沢東のように、民主集中制と集団指導体制という制度だけは条文上残しておきながら、実際は何もかも一人で決める恐怖政治を断行し、事実上独裁を徹底させた指導者もいるにはいる。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

24年の独成長率は0.3%に 政府が小幅上方修正=

ビジネス

ノルウェー政府系ファンド、ゴールドマン会長・CEO

ビジネス

米株「恐怖指数」が10月以来の高水準、米利下げや中

ビジネス

中国大手銀5行、25年までに損失吸収資本2210億
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離れ」外貨準備のうち、金が約4%を占める

  • 3

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の衝撃...米女優の過激衣装に「冗談でもあり得ない」と怒りの声

  • 4

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 5

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 6

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 9

    「イスラエルに300発撃って戦果はほぼゼロ」をイラン…

  • 10

    日本の護衛艦「かが」空母化は「本来の役割を変える…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体は

  • 4

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 5

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 9

    帰宅した女性が目撃したのは、ヘビが「愛猫」の首を…

  • 10

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中