【写真特集】難民の旅の悲惨な終着点リビア
トリポリのシッカ通りにある収容所はリビア内務省が管轄。移民・難民の多くはサハラ砂漠以南の国々の出身で、劣悪な環境の中で本国送還を待つ
<サハラ砂漠や北アフリカをくぐり抜けた難民の過酷な旅は、最後に最も危険な地中海への玄関口リビアにたどり着く>
アフリカから欧州を目指す難民の波は今も絶えない。サハラ砂漠以南や北アフリカをくぐり抜けた彼らの過酷な旅は最後に、最も危険な場所にたどり着く。地中海への玄関口リビアだ。
内政の混乱が続くリビアを支配するのは民兵組織の寄せ集め。彼らは密航業者の人身売買に加担し、移民・難民への虐待や人権侵害を行っているとされる。
首都トリポリでは密航を待つ大勢の男女や子供が隠れ家などから追い立てられ、移民・難民収容所に送り込まれていく。シッカ通りの施設では、不衛生な倉庫に男性約1500人が閉じ込められている。トイレもシャワーもなく、用を足すのは空のペットボトルかビニール袋だ。
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4月のある夜、私はリビア沿岸警備隊の夜間巡回に同行した。司令官アブドゥルラーマン・アル・ビジャはゴムボートに乗った難民を「救助」と称して逮捕し、収容所に引き渡すのが任務だ。この夜はボート2隻を発見。銃撃戦の末に一方のボートにいた密航業者は全員殺された。
時に善と悪、善人と悪人の境界はあやふやになるものだが、その境界がリビアほど曖昧な場所はない。
Photographs by Moises Saman-Magnum Photos Tokyo