最新記事

迷惑行為

NYの電車内で iPhoneの「AirDrop」を使った迷惑行為が危ない流行?

2017年8月23日(水)15時30分
松岡由希子

LeoPatrizi-iStock

<ニューヨークの地下鉄内で、iPhoneの「AirDrop」を使った迷惑行為が起きている。男性の下半身が露出した写真が見知らぬ人物から送信されてきたという。その対策は?>

アップルが2011年からiPhoneやiPad、MacBookなどの自社製の端末に導入している「AirDrop(エアードロップ)」は、Wi-FiやBluetooth(ブルートゥース)といった無線通信により、近くの友人らと、端末間で、写真や動画、連絡先、位置情報などのデータを送受信し合うことのできるサービスだ。

「AirDrop」を通じて他の端末が自分の端末にデータを共有しようとすると、その旨が通知され、データを受信するかどうかを"辞退"もしくは"受け入れる"のボタンで選択する仕組みとなっている。

「AirDrop」は、メールやメッセージアプリによるデータ共有と異なり、共有先のメールアドレスやユーザー名などを指定する必要がなく、端末間で直接データをやりとりできる簡便さが利点だが、これが悪用される事案やトラブルも発生している。

ニューヨークの地下鉄で、写真が勝手に送られてきた

米タブロイド紙『ニューヨーク・ポスト』が報じたところによると、2017年7月27日夜、ニューヨーク市地下鉄6系統に乗車していた28歳の女性が「AirDrop」を悪用した迷惑行為の被害に遭った。

被害者は、「『iPhone1』があなたにメモを共有しようとしています」という不審な通知が自身のiPhoneの画面に表示されたため、"受け入れる"のボタンを選択したところ、男性の下半身が露出した写真が見知らぬ人物から送信されてきたという。

また、ロンドン南部の電車内でも、かつて34歳の女性が同様の迷惑行為の被害に遭い、イギリス鉄道警察(BTP)が捜査していることを、BBCが伝えている。

「AirDrop」が悪用されるケースは、このような迷惑行為に限られない。オーストラリアの情報セキュリティ専門家マーク・ダウド氏は、以下の動画でデモンストレーションしながら、「ユーザーが気づかないうちに、周囲にいる何者かによって「AirDrop」の機能が悪用され、端末に有害なアプリがインストールされてしまうおそれがある」と警告している。


悪用されないためには

では、「AirDrop」を第三者に悪用されないためには、どのように対策すべきだろうか。

まずは、iPhoneなどの端末で「AirDrop」の設定を確認しよう。「AirDrop」では、受信オプションとして、自分の端末とのデータの送受信を認める範囲が3段階で設定されており、一切の送受信を認めないことを意味する"受信しない(Off)"、端末に連絡先を登録しているユーザーだけ送受信を認める"連絡先のみ(Contacts Only)"、近くにあるすべての端末にデータの送受信を認める"すべての人(Everyone)"のいずれかを選択できる。見ず知らずの第三者が容易に自分の端末にアクセスできないようにするために、"すべての人(Everyone)"は避けることが望ましい。

仕事やプライベートでiPhoneやiPad、Macを日常的に利用している人は、自分の端末が知らず知らずのうちに悪用されることのないよう、自衛を心がけることが肝要だろう。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

LSEG、第1四半期契約の伸び鈍化も安定予想 MS

ビジネス

独消費者信頼感指数、5月は3カ月連続改善 所得見通

ワールド

バイデン大統領、マイクロンへの補助金発表へ 最大6

ワールド

米国務長官、上海市トップと会談 「公平な競争の場を
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 3

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令

  • 4

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 5

    マイナス金利の解除でも、円安が止まらない「当然」…

  • 6

    ワニが16歳少年を襲い殺害...遺体発見の「おぞましい…

  • 7

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 10

    ケイティ・ペリーの「尻がまる見え」ドレスに批判殺…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 5

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中