米共和党、予算案でも意見が対立 オバマケア改廃の二の舞か?
7月18日、米下院共和党は、税制改革に向けた第1歩となる2018会計年度(17年10月─18年9月)予算案を公表した。しかし、この予算案も共和党内の保守派と穏健派の意見対立で、医療保険制度改革(オバマケア)改廃への取り組みと同じ轍を踏む可能性がある。写真はワシントンで撮影(2017年 ロイター/Aaron Bernstein)
米下院共和党は18日、税制改革に向けた第1歩となる2018会計年度(17年10月─18年9月)予算案を公表した。しかし、この予算案も共和党内の保守派と穏健派の意見対立で、医療保険制度改革(オバマケア)改廃への取り組みと同じ轍を踏む可能性がある。
4兆ドル規模の予算案は下院予算委員会が公表した。
低所得者向けの社会保障費削減につながる2030億ドルの義務的歳出削減を盛り込む一方で、法人・個人に対する将来的な減税と結びついているため、党内からの造反を招く新たな火種となりかねない。
上院共和党によるオバマケア代替法案は、低所得者向けの保険維持を望む党内穏健派と縮小を望む保守派との綱引きが続き、17日夜に新たに党内から2人の造反が出たことで可決が絶望的となった。
18日には、下院共和党議員らから予算案の内容に反対する声も上がっており、税制改革の審議時に上院でのオバマケア改廃頓挫の経緯が繰り返される可能性もある。
下院共和党保守強硬派グループ「自由議員連盟(フリーダム・コーカス)」を率いるマーク・メドウズ議員は、政府が法律で拠出を義務付けられているプログラムの一段の削減なしには、予算案が下院を通過するのに必要な保守派の賛成票は得られないと発言。記者団に対し、「依然として必要な(削減額に)達していない」と語った。
一方、穏健派の「チューズデー・グループ」を率いるチャーリー・デント議員は、裁量的プログラムへの支出水準引き上げで民主党との合意を呼び掛けた。ロイターに対し、「義務的歳出に関して行き過ぎれば、税制改革が一層難しくなる。分かり切ったことだ」と述べた。
上下両院が18年度予算案を承認すれば、共和党が上院の過半数を利用して税制法案を通過させることのできる財政調整法(reconciliation)という重要な手段が手に入る。
しかし、上院が財政調整法を活用してもオバマケア代替法案を可決できなかったことから、この戦術の有効性が疑問視されている。