最新記事

軍事産業

三菱電機、富士通が米企業とミサイル防衛レーダー共同開発を検討

2017年5月23日(火)17時16分

 5月23日、米レイセオンと三菱電機、米ロッキード・マーチンと富士通の2陣営がそれぞれ、弾道ミサイル防衛の要であるイージスシステムのレーダーの共同開発を検討していることがわかった。写真はルーマニア・デべセル空軍基地に配置されている陸上配備型イージス。提供写真(2017年 ロイター)

米レイセオンと三菱電機<6503.T>、米ロッキード・マーチンと富士通<6702.T>の2陣営がそれぞれ、弾道ミサイル防衛の要であるイージスシステムのレーダーの共同開発を検討していることがわかった。両陣営とも日本の高性能半導体を使い、探知性能を向上させることが狙い。

日米の複数の政府・業界関係者が明らかにした。日本が建造中のイージス艦、さらに導入を検討中の陸上配備型イージスも、いずれかのレーダーを積む可能性がある。

レイセオン、ロッキードとも、三菱電機と富士通がそれぞれ手掛ける半導体に注目している。青色発光ダイオードの材料として知られる窒化ガリウム(GaN)を素子に使った高性能の半導体で、消費電力の低さと高い出力が特徴。レーダーを小型化しつつ、探知距離や識別能力を大幅に引き上げることができる。

防空戦闘を得意とし、弾道ミサイル防衛の中核装備であるイージス艦は、上空警戒と低空警戒の2種類のレーダーを積む。米海軍は2018年から配備を始める上空用の新型レーダーに、レイセオンが自社製GaNを使って開発した「SPY6」を採用した。

しかし、低空用は従来のものを使い続ける見込みで、レイセオンはこれをGaNの技術に定評のある三菱電機と開発したい考え。一方、米軍の次期イージスレーダーの受注を逃したロッキードも、富士通のGaNを使って自社のレーダーの性能を高めようとしている。

北朝鮮は初めて高度2000キロ超に達した5月14日の中距離弾に続き、21日には固体燃料を使った別の中距離弾を移動式発射台から打つなど、ミサイル開発を急ピッチで進めている。ミサイル防衛を強化中の日本は7隻目のイージス艦を2020年に、8隻目を21年に就役させる予定で、共同開発が間に合えば、2隻はどちらかの陣営のレーダーを積む可能性がある。

さらに導入を検討している陸上配備型の「イージス・アショア」にも、搭載する可能性がある。関係者によると、日本は遅くとも23年度までにイージス・アショアの配備を終えることを視野に入れている。

防衛装備品の共同開発は、日米とも政府が主導することになる。関係者によると、両国政府とも2陣営の協議に関心を寄せているが、現時点で関与はしていない。

日本の防衛省はロイターの取材に「企業活動に関する事柄であり、コメントする立場にない」と回答した。東京の米国大使館を通して米政府にもコメントを求めたが、現時点で得られていない。

レイセオン、三菱電機、ロッキードは、コメントを控えるとした。富士通のコメントは得られていない。

日米は現在、イージスシステムから発射する迎撃ミサイル「SM3ブロック2A」を共同開発中。レーダーの共同開発が実現すれば、両国が弾道ミサイル防衛技術の強化に取り組む2つ目の案件となる。

(久保信博、ティム・ケリー 編集:田巻一彦)

[東京 23日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2017トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

日銀「コメント控える」、パウエル氏支持の各国中銀声

ビジネス

過度に行き過ぎた場合、介入もあってしかるべき=円安

ワールド

イラン政府、デモ巡り対話を約束 若者の怒り分析へ

ビジネス

アングル:円は安値圏の攻防か、変動なきオプション市
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AI兵士の新しい戦争
特集:AI兵士の新しい戦争
2026年1月13日号(1/ 6発売)

ヒューマノイド・ロボット「ファントムMK1」がアメリカの戦場と戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    母親が発見した「指先の謎の痣」が、1歳児の命を救った...実際の写真を公開、「親の直感を信じて」
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 5
    中国が投稿したアメリカをラップで風刺するAI動画を…
  • 6
    衛星画像で見る「消し炭」の軍事施設...ベネズエラで…
  • 7
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 8
    筋力はなぜパワーを必要としないのか?...動きを変え…
  • 9
    Netflix『ストレンジャー・シングス』最終シーズンへ…
  • 10
    「お父さんの部屋から異臭がする」...検視官が見た「…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 5
    中国が投稿したアメリカをラップで風刺するAI動画を…
  • 6
    次々に船に降り立つ兵士たち...米南方軍が「影の船団…
  • 7
    Netflix『ストレンジャー・シングス』最終シーズンへ…
  • 8
    ベネズエラの二の舞を恐れイランの最高指導者ハメネ…
  • 9
    母親が発見した「指先の謎の痣」が、1歳児の命を救っ…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 4
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 5
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 6
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 7
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 8
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 9
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 10
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中