最新記事

宇宙技術

重さ64グラム!世界最小かつ最軽量の人工衛星をインドの青年が開発

2017年5月23日(火)19時00分
松岡由希子

Twitter/@rifarh_shaarook

<NASAの教育プログラムによって、インドの18歳の青年が開発した"世界最小かつ最軽量"の人工衛星が宇宙へと打ち上げられることになった。人工衛星の軽量化に向けた試金石としても注目されている>

NASA(アメリカ航空宇宙局)は、宇宙探査にまつわる研究開発活動において、外部の優秀な人材や独創的なアイデアを積極的に受け入れてきた。11歳から18歳までの子どもを対象に、ロケットや気球を使った打ち上げ実験のアイデアを募る教育プログラム『キューブス・イン・スペース』もそのひとつ。このプログラムは、近々、弱冠18歳の青年が開発した"世界最小かつ最軽量"の人工衛星が宇宙へと打ち上げられることでも話題となっている。

インドで宇宙技術の発展にも尽力したアブドゥル・カラーム元大統領にちなみ『カラームサット(KalamSat)』と名付けられたこの人工衛星は、インド南部タミル・ナードゥ出身のリファス君(Rifath Shaarook)ら、インドの科学教育機関『スペース・キッズ・インディア』に在籍する研究チームによって開発された。

3Dプリンターで出力した炭素繊維を活用

3.8センチの立方体の『カラームサット』は、炭素繊維を素材とし、3Dプリンターによって出力。鉄の4分の1の比重で10倍の強度を持つ"軽くて強い"炭素繊維を活用することで、重さわずか64グラムという軽量化に成功した。また、この小さな人工衛星には、温度センサーや湿度センサーなど、8台のセンサーが内蔵され、加速度や回転を計測したり、地球磁気圏を観測したりすることができる。

『カラームサット』は、2017年の『キューブス・イン・スペース』において優秀なアイデアと認められ、2017年6月、実際に打ち上げ実験が行われることとなった。

3Dプリンターで出力した炭素繊維からなる超軽量な人工衛星の性能や耐久性をテストするべく、米ヴァージニア州東部海岸にあるNASAのワロップス飛行施設から打ち上げ、4時間にわたって弾道飛行しながら、宇宙の微小重力環境で12分間、稼働させる計画だ。

『カラームサット』の打ち上げ実験は、とりわけ、人工衛星の軽量化に向けた試金石として注目されている。この実験の成果によっては、既存の人工衛星の素材や製造工程に変革をもたらし、宇宙探査におけるコスト効率化にもつながるかもしれない。十代の若者たちが開発した"世界最小かつ最軽量"の人工衛星は、大いなる可能性を秘めている。

ニュース速報

ビジネス

神戸製鋼、JIS認証機関が19日から立ち入り検査

ビジネス

神戸鋼、社内調査後も不正継続 20日午後に発表へ=

ビジネス

米上院、18年度予算決議案を可決 税制改革へ前進

ビジネス

EU首脳、ネット企業への課税で来年初頭の提案取りま

MAGAZINE

特集:中国予測はなぜ間違うのか

2017-10・24号(10/17発売)

何度も崩壊を予想されながら、終わらない共産党支配──。中国の未来を正しく読み解くために知っておくべきこと

グローバル人材を目指す

人気ランキング

  • 1

    iPhoneX(テン)購入を戸惑わせる4つの欠点

  • 2

    iPhone8はなぜ売れないのか

  • 3

    トランプ、金正恩の斬首部隊を韓国へ 北朝鮮に加え中国にも圧力か?

  • 4

    自分を捨てた父親を探したら、殺人鬼だった

  • 5

    NYの電車内で iPhoneの「AirDrop」を使った迷惑行為…

  • 6

    北朝鮮をかばい続けてきた中国が今、態度を急変させ…

  • 7

    ロシアが北朝鮮の核を恐れない理由

  • 8

    iPhone新作発表に韓国メディアが呼ばれなかった理由

  • 9

    iPhoneはなぜ割れるのか?<iPhone 10周年>

  • 10

    もし第3次世界大戦が起こったら

  • 1

    iPhoneX(テン)購入を戸惑わせる4つの欠点

  • 2

    イージス艦事故の黒幕は北朝鮮か? 最強の軍艦の思わぬ弱点

  • 3

    ポルノ王がトランプの首に11億円の懸賞金!

  • 4

    トランプ、金正恩の斬首部隊を韓国へ 北朝鮮に加え…

  • 5

    北朝鮮との裏取引を許さないアメリカの(意外な)制…

  • 6

    iPhone8はなぜ売れないのか

  • 7

    NYの電車内で iPhoneの「AirDrop」を使った迷惑行為…

  • 8

    石平「中国『崩壊』とは言ってない。予言したことも…

  • 9

    北朝鮮をかばい続けてきた中国が今、態度を急変させ…

  • 10

    自分を捨てた父親を探したら、殺人鬼だった

  • 1

    「クラスで一番の美人は金正恩の性奴隷になった」

  • 2

    「北朝鮮はテロリストだ」 北で拘束された息子は異様な姿で帰国し死んだ

  • 3

    北朝鮮はなぜ日本を狙い始めたのか

  • 4

    「金正恩の戦略は失敗した」増大する北朝鮮国民の危…

  • 5

    トランプの挑発が、戦いたくない金正恩を先制攻撃に…

  • 6

    米軍は北朝鮮を攻撃できない

  • 7

    北朝鮮の女子大生が拷問に耐えきれず選んだ道とは...

  • 8

    中国が北朝鮮を攻撃する可能性が再び----米中の「北…

  • 9

    米朝戦争が起きたら犠牲者は何人になるのか

  • 10

    iPhoneX(テン)購入を戸惑わせる4つの欠点

PICTURE POWER

レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい

全く新しい政治塾開講。あなたも、政治しちゃおう。
日本再発見 シーズン2
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
メールマガジン登録
売り切れのないDigital版はこちら

MOOK

ニューズウィーク日本版 特別編集

最新版 アルツハイマー入門

絶賛発売中!

STORIES ARCHIVE

  • 2017年10月
  • 2017年9月
  • 2017年8月
  • 2017年7月
  • 2017年6月
  • 2017年5月