最新記事

安倍晋三

海外投資家が日本株売り 安倍退陣のスーパーテールリスク警戒も

2017年3月31日(金)16時36分

3月31日、海外勢の日本株売りが加速している。「トランプラリー」における買い越し額の約半分を売却した。ドル建て日経平均が17年ぶりの高値水準にあるなど、リスクオフ局面で益出ししやすいのが主因だ。写真は安倍晋三首相。ローマで21日撮影(2017年 ロイター/Remo Casilli)

海外勢の日本株売りが加速している。「トランプラリー」における買い越し額の約半分を売却した。ドル建て日経平均が17年ぶりの高値水準にあるなど、リスクオフ局面で益出ししやすいのが主因だ。だが、森友学園問題など国内の政治不安定化を背景に、安倍晋三首相の退陣を「スーパーテールリスク」として織り込み始めたとの指摘も出ている。

円高と日銀が支えるドル建て日本株

海外投資家は、昨年11月の米大統領選後、12月末までに日本株を現物と先物を合わせて約3.9兆円買い越した。だが、今年に入り方向転換。年初からの累計売り越し額は約2兆円に達している。特に直近の3月第4週は、9533億円と1年ぶりの大きさになった(以下の表参照)。

オバマケア代替法案を巡り、トランプ米大統領の政治手腕への不安が台頭。世界的なリスクオフの広がりが、海外勢の売りの背景だ。日経平均でみた年初からの日本株パフォーマンスは、世界の主要株価指数の中でワーストの部類に入るなど、日本株に対する海外勢の売り圧力が目立っている。

リスクオフ局面における海外勢による日本株売りには理由がある。円ベースの日本株はさえないが、ドルベースの日経平均は170ドル付近と17年ぶりの高水準にあるためだ。ラフな言い方をすれば、2000年以降、ドル建てで日本株を買った海外勢は、ほぼ全員利益が出ているといえる。

ドル建て日経平均が高いのは、円高と日銀の影響が大きい。対ドルで年初から約4%円高が進む一方、円ベースの日本株は、日銀のETF(上場投資信託)買いで支えられている。日銀は年初から約1.7兆円購入しており、海外勢の2兆円の売りを一手で吸収している構図だ。

円高と日銀が支えてくれる日本株。海外勢としては売りやすい。「円高は日本企業の業績懸念を強めるデメリットもある。海外勢にとって、日本株はリスクオフ局面では利益確定売りの対象になりやすい」と、JPモルガン・アセット・マネジメントのグローバル・マーケット・ストラテジスト、重見吉徳氏は話す。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

訂正(17日配信記事)-日本株、なお魅力的な投資対

ワールド

G7外相会議、ウクライナ問題協議へ ボレル氏「EU

ワールド

名門ケネディ家の多数がバイデン氏支持表明へ、無所属

ビジネス

中国人民銀には追加策の余地、弱い信用需要に対処必要
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画って必要なの?

  • 3

    【画像】【動画】ヨルダン王室が人類を救う? 慈悲深くも「勇ましい」空軍のサルマ王女

  • 4

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 5

    パリ五輪は、オリンピックの歴史上最悪の悲劇「1972…

  • 6

    人類史上最速の人口減少国・韓国...状況を好転させる…

  • 7

    「イスラエルに300発撃って戦果はほぼゼロ」をイラン…

  • 8

    ヨルダン王女、イランの無人機5機を撃墜して人類への…

  • 9

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 10

    アメリカ製ドローンはウクライナで役に立たなかった

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体は

  • 4

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    帰宅した女性が目撃したのは、ヘビが「愛猫」の首を…

  • 7

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 8

    「もしカップメンだけで生活したら...」生物学者と料…

  • 9

    温泉じゃなく銭湯! 外国人も魅了する銭湯という日本…

  • 10

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 7

    巨匠コンビによる「戦争観が古すぎる」ドラマ『マス…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中