最新記事

テロ

ブレグジット後の治安協力は? 襲撃テロで英国が懸念

2017年3月25日(土)11時13分

3月23日、英ロンドン襲撃事件が22日に発生する数時間前、欧州警察機関(ユーロポール)長官は、大勢の過激思想を抱く人物が英国と欧州に常に脅威を与えていると警告していた。写真は事件の翌日、現場にたむけられた白い花(2017年 ロイター/Stefan Wermuth)

英ロンドン襲撃事件が22日に発生する数時間前、欧州警察機関(ユーロポール)長官は、大勢の過激思想を抱く人物が英国と欧州に常に脅威を与えていると警告していた。

「こうした(脅威の)一部は今後も成功する可能性がある」と、英国出身のロブ・ウェインライト長官は、昨年の同日2016年3月22日に発生し、32人が犠牲となったブリュッセル同時攻撃の犠牲者を追悼するためブログにこう記していた。

ブリュッセルでの事件以降、4人が死亡し数十人が負傷した今回の事件までの1年間、欧州の治安当局者によると、潜在的脅威に関する情報共有は10倍に増えたという。

治安を強化するため、データベースの整備や身分詐称の取り締まり、不審者通報の義務化など、これまで以上の努力が行われている。

英国はユーロポールのデータを最もよく使う上位3国の1つである。だが欧州連合(EU)を離脱するため、同国がこのような協力体制から閉め出され、過去2年間にわたり欧州全体で300人を殺害したイスラム過激派に対し、ますますぜい弱になるリスクが浮上している。

ロンドン襲撃事件の容疑者は英国生まれであり、同国はEUの域内を国境審査なしで自由に往来できる「シェンゲン協定」に参加していない。それでも英国政府は、イスラム教徒に対する懸念と情報を他のEU加盟国と共有している。彼らはたいてい、インターネットで得た情報から急進化し、中東や北アフリカやアフガニスタンでジハード(聖戦士)と共に訓練や実際に戦闘を行い、自国に戻ってくる。

英国の治安当局者は昨年、ユーロポールと、ある加盟国で指名手配された容疑者を逮捕する義務をすべてのEU加盟国が負う「欧州逮捕状」を含む協定から離脱することの危険性を議会に警告していた。

5000人を送還

メイ首相が内相だった1年前、情報共有において英国が米国と緊密な関係にあることは、「(EU域外で)残留した場合と同じくらい安全であることを必ずしも意味するものではない」と語った。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:ホームレス化の危機にAIが救いの手、米自

ワールド

アングル:印総選挙、LGBTQ活動家は失望 同性婚

ワールド

北朝鮮、黄海でミサイル発射実験=KCNA

ビジネス

根強いインフレ、金融安定への主要リスク=FRB半期
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ公式」とは?...順番に当てはめるだけで論理的な文章に

  • 3

    「韓国少子化のなぜ?」失業率2.7%、ジニ係数は0.32、経済状況が悪くないのに深刻さを増す背景

  • 4

    便利なキャッシュレス社会で、忘れられていること

  • 5

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 6

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離…

  • 7

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 8

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 9

    毎日どこで何してる? 首輪のカメラが記録した猫目…

  • 10

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 4

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 9

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 10

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中