最新記事

中朝関係

核問題で北朝鮮に制裁で「しつけ」する中国 一方で対話も継続

2017年2月22日(水)10時11分

2月20日、中国は北朝鮮からの石炭輸入を停止すると発表し、同国を厳しく鞭打ったが、対話ルートを完全に断ってしまう様子は見られない。写真は、北朝鮮の弾道ミサイル発射実験を伝えるテレビ画面。ソウルで12日撮影(2017年 ロイター/Kim Hong-Ji)

中国は北朝鮮からの石炭輸入を停止すると発表し、同国を厳しく鞭打った。しかし対話ルートを完全に断ってしまう様子は見られず、核問題の解決に向けて外交努力を続けているのが実情だ。

中国の北朝鮮専門家らによると、金正恩朝鮮労働党委員長が核問題の平和的解決に一向に前向きな姿勢を示さず、反抗的態度を続けていることに、中国政府もうんざりしている。北朝鮮に厳しく対峙するよう、米国から圧力を掛けられてもいる。

中国共産党系のタブロイド紙、環球時報は20日の社説で、石炭輸入の停止措置について、北朝鮮の核開発を止めさせるために中国が国際社会と協力していく決意を示したものだと評価。ただ、対北朝鮮政策が根本的に変わるわけではないとも論じた。

「国連の制裁には加わったが、中国社会の北朝鮮への友情は変わらぬままだ。中国の制裁は核兵器開発だけを標的にしたものであり、我が国は韓国の北朝鮮に対する政治的妄想には断固として反対する」としている。

妄想とは、金正恩氏の異母兄、金正男氏が殺害された事件を巡り、中国が北朝鮮を罰するために石炭輸入を停止した可能性があるという韓国メディアの報道を指している。

複数の中国専門家によると、石炭の輸入停止による北朝鮮への経済的影響は甚大で、北朝鮮は交渉のテーブルに着かざるを得なくなるかもしれない。中国は昨年、北朝鮮から約18億9000万ドル相当の石炭を輸入。これは同国からの輸入総額25億ドルの大きな部分を占めている。

延辺大学・南北朝鮮センターのJin Qiangyiディレクターは輸入停止について「従来のしきたりを破る非常に厳しい措置だ。中国が北朝鮮の最近の弾道ミサイル発射実験をいかに不快に感じたかが分かる」と話す。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米国務長官が近く訪中へ、「歓迎」と中国外務省

ビジネス

IMF、スリランカと債券保有者の協議を支援する用意

ワールド

EU諸国、ミサイル迎撃システムをウクライナに送るべ

ビジネス

中国人民元建て債、3月も海外勢保有拡大 ペースは鈍
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画って必要なの?

  • 3

    【画像】【動画】ヨルダン王室が人類を救う? 慈悲深くも「勇ましい」空軍のサルマ王女

  • 4

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 5

    パリ五輪は、オリンピックの歴史上最悪の悲劇「1972…

  • 6

    人類史上最速の人口減少国・韓国...状況を好転させる…

  • 7

    「イスラエルに300発撃って戦果はほぼゼロ」をイラン…

  • 8

    ヨルダン王女、イランの無人機5機を撃墜して人類への…

  • 9

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 10

    アメリカ製ドローンはウクライナで役に立たなかった

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体は

  • 4

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    帰宅した女性が目撃したのは、ヘビが「愛猫」の首を…

  • 7

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 8

    「もしカップメンだけで生活したら...」生物学者と料…

  • 9

    温泉じゃなく銭湯! 外国人も魅了する銭湯という日本…

  • 10

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 7

    巨匠コンビによる「戦争観が古すぎる」ドラマ『マス…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中