最新記事

カナダ

カナダ人はトランプよりトルドーを支持...とは限らない

2017年2月15日(水)20時04分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

初めてトランプとトルドーを比較してカナダ人に尋ねたこの調査では、個別の政策ごとの支持率を出している。それによれば、医療政策ではトランプ21%対トルドー51%、移民政策ではトランプ17%対トルドー56%、外交政策ではトランプ21%対トルドー41%と、トルドーが自国民のハートをがっちり掴んでいる。

しかし経済政策に関する設問では、トランプの政策を支持するという回答が53%で、トルドーの政策支持は43%に留まった。安全保障政策でも、トランプが51%、トルドーが39%と、支持率は逆転している。

なぜこれらの分野でトルドーの支持率は低いのか。

カナダ経済は2015年に原油安の打撃を受け、このところは好調と言えなかった。2月10日に雇用統計が改善したとの報告も出たが、アメリカとの通商関係がどう決着するかに大きく左右されるのは確実だ。カナダのCBCニュースによれば、14日に発表された2つのレポートでも、トランプが掲げている輸入品に対する「国境税」がカナダ経済にもアメリカ経済にも悪影響を及ぼすと予測している。

また、アメリカでも欧州でも反移民・難民のポピュリズムが力を増すなかで、カナダは「幸運にも残った"まとも"な先進国」(昨秋のエコノミスト誌特集より)とされているが、それでも1月29日にケベック州でモスク(イスラム礼拝所)銃乱射事件が起こるなど、火種がないわけではない。

【参考記事】「難民受け入れます(ただし独身男性を除く)」の波紋

今回のMainstreet/Postmediaの世論調査は1月下旬に実施されたもの。その後のトランプの入国禁止令や、13日の首脳会談での"勝利"を経て、カナダ人の受け止め方は変化しているかもしれないが、いずれにせよトルドーにとってもこれからが正念場だろう。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

スペイン首相が辞任の可能性示唆、妻の汚職疑惑巡り裁

ビジネス

米国株式市場=まちまち、好業績に期待 利回り上昇は

ビジネス

フォード、第2四半期利益が予想上回る ハイブリッド

ビジネス

NY外為市場=ドル一時155円台前半、介入の兆候を
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 3

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令

  • 4

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 5

    マイナス金利の解除でも、円安が止まらない「当然」…

  • 6

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 7

    ケイティ・ペリーの「尻がまる見え」ドレスに批判殺…

  • 8

    ワニが16歳少年を襲い殺害...遺体発見の「おぞましい…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    イランのイスラエル攻撃でアラブ諸国がまさかのイス…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 8

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中