最新記事

慰安婦問題

韓国ユン外交部長官「釜山の少女像は望ましくない」

2017年1月13日(金)20時25分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

Stringer - REUTERS

<昨年末に韓国釜山の日本総領事館前に「平和の少女像」が設置された問題は、日韓両政府の温度差が指摘されていたが、13日午後、ユン・ビョンセ外交部長官が「国際的に見て望ましくない」と発言、事態の収拾に向けた動きが見えてきた>

 昨年12月28日、釜山の市民団体が、釜山の日本領事館前に慰安婦問題の象徴ともいえる少女像を突然設置した。日韓両国政府による慰安婦問題についての合意が発表されてからちょうど1年というタイミングを見計らった行動で、設置場所となった釜山市東区の行政側が警察に対応を要請。市民団体のメンバーが公務執行妨害で連携され、少女像は強制撤去された。だが、世論がこれに猛反対し行政に批判が殺到したため、釜山市東区側は30日に少女像を返却して「市民団体が設置するのを妨げない」と設置を認めた。

 日本政府は、これに対して菅官房長官が連日遺憾の意を表明するなどして、韓国側の対応を求めていたが、弾劾決議を受けて職務停止状態の朴槿惠政権はなんらの対応を打ち出せない状態が続き、6日には日本が駐韓大使一時帰国など対抗措置を実施し、韓国政府への善処を求めていた。

 YTNなど韓国メディアが一斉に報じたところでは、13日、韓国外交部のユン・ビョンセ長官は、韓国国会内の外交統一委員会に出席し、「外交公館前に造形物を設置するのは、国際関係の面から望ましくないというのが国際社会の一般的な認識だ」と発言。これまで「該当の自治体、市民団体などが適切な場所について知恵を集められるよう期待する」と、あくまで自治体の問題として政府が関与しない態度から一歩踏み込んだ発言をした。また、ユン長官は「政府は慰安婦少女像の設置に反対していないが、外交公館前に設置するのは国際慣行に合わず、対外的に説得するのは困難がある。場所の問題は知恵を集める必要がある」と説明した。


ユン・ビョンセ韓国外交部長官の国会での発言 YTN / Youtube

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

スイス中銀、第1四半期の利益が過去最高 フラン安や

ビジネス

仏エルメス、第1四半期は17%増収 中国好調

ワールド

ロシア凍結資産の利息でウクライナ支援、米提案をG7

ビジネス

北京モーターショー開幕、NEV一色 国内設計のAD
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 3

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令

  • 4

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 5

    マイナス金利の解除でも、円安が止まらない「当然」…

  • 6

    ワニが16歳少年を襲い殺害...遺体発見の「おぞましい…

  • 7

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 10

    ケイティ・ペリーの「尻がまる見え」ドレスに批判殺…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 5

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中