最新記事

日米関係

安倍首相、現職総理として初めて真珠湾訪問へ 日米同盟強化を演出

2016年12月6日(火)11時11分

 12月5日、安倍晋三首相は、米国のオバマ大統領とともに今月米ハワイを訪れ、真珠湾攻撃の犠牲者を慰霊すると発表した。写真は上空から撮影した真珠湾(2016年 ロイター/Hugh Gentry)

 安倍晋三首相は5日、米国のオバマ大統領とともに今月米ハワイを訪れ、真珠湾攻撃の犠牲者を慰霊すると発表した。日本の現職首相が、75年前の第2次世界大戦において日米開戦の舞台となった真珠湾を訪問するのは初めて。

 安倍首相は会見で、「ハワイでの会談は、この4年間を総括し、未来に向けてさらなる同盟の強化の意義を世界に発信する機会にしたい」と述べ、「これまでの集大成となる最後の首脳会談」だと語った。

「二度と戦争の惨禍を繰り返してはならない、その未来に向けた決意を示したい」と首相は会見で語った。

 今月26-27日に予定される安倍首相のハワイ訪問は、オバマ大統領が現職の米大統領として初めて被爆地・広島を訪問してから7カ月後となる。ハワイはオバマ大統領の出身地でもあり、ホワイトハウスでの任期中にも度々家族で訪れている。

 ホワイトハウスは安倍首相の真珠湾訪問について、戦時中にかつては敵国だった2国間の同盟関係を強調するものとなるとしている。

「両国の指導者による真珠湾訪問は、かつての敵国同士が、共通の利害や共有する価値によって結ばれ、最も緊密な同盟国になった和解の力を示すことになるだろう」との声明をホワイトハウスは発表した。

 真珠湾訪問時に安倍首相が謝罪を表明することはないだろうと、テンプル大学日本校のジェフリー・キングストン教授は指摘する。

「謝罪するまでには至らないだろうが、遺憾の意を表明するだろう」と述べ、オバマ米大統領の広島訪問に倣うとみている。「オバマ大統領はごまかしたり否定したりせずに、過去に前向きに取り組む方法を示した」と同教授は語った。

 同教授はまた、「安倍首相は歴史に線を引き、トランプ(米次期大統領)との時代に進むにあたり、いくつかの困難な障害を取り除きたいと考えていると思う。恐らく安倍首相側の機敏な判断だろう」と述べた。

[東京 5日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

訂正-メルセデス、中国パートナーとの提携に投資継続

ビジネス

ホンダ、カナダにEV生産拠点 電池や部材工場含め総

ビジネス

スイス中銀、第1四半期の利益が過去最高 フラン安や

ビジネス

仏エルメス、第1四半期は17%増収 中国好調
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 3

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令

  • 4

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 5

    マイナス金利の解除でも、円安が止まらない「当然」…

  • 6

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 7

    ワニが16歳少年を襲い殺害...遺体発見の「おぞましい…

  • 8

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 4

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 5

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中