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サウジアラビア

ソフトバンクと提携したサウジ副皇太子が握る王国の未来

2016年11月3日(木)09時40分
アフシン・モラビ(本誌コラムニスト)

 ソフトバンクと手を組んだムハンマドとはどんな人物なのか? 側近たちによれば、「仕事中毒」で「データ中毒」。経済と社会に変革が必要だと認識している若きプリンスだという。

 ムハンマドは国防相と経済開発評議会議長も兼任。イエメン内戦への軍事介入を主導したり、改革を目指す官僚や大臣たちをリードする存在でもある。

 欧米のサウジウオッチャーの間では、年長のムハンマド皇太子(57)とのライバル関係を噂する向きもある。皇太子を出し抜いて次期国王の座を狙っているのではないかとの「分析」まであるが、あくまで臆測だ。多忙な副皇太子の殺人的なスケジュールを考えれば、彼がそのような批判的な声に耳を傾ける暇さえないだろうが。

【参考記事】サウジ副皇太子の新世代外交に、日本はどう対応するべきか

 為政者は長年にわたり多くの過ちを犯してきた。王室は汚職の蔓延を許し、保守的なイスラム教指導者らにカネと権力を与え過ぎた。改革は遅々として進まず、女性の社会進出にも後ろ向きだ。

 今のサウジアラビアに求められているのは劇的な変革だ。世界はグローバル経済に大きな影響力を持つ産油国の安定を望んでいるが、それは経済と社会の改革が成功してこそ得られるだろう。そのカギを握る人物がムハンマドだ。

 若きプリンスは日本のソフトバンクと一緒に、サウジアラビアの未来を左右する扉の1つを開けようとしている。

[2016年11月 8日号掲載]

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