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欧州経済EU財務相会合、パナマ文書問題への「過剰反応」慎重論相次ぐ
欧州委員会による大企業の税・財務データを一般公開する案について否定する声が多数
4月23日、大企業や富裕層のタックスヘイブン(租税回避地)利用実態を暴く「パナマ文書」の流出問題をめぐり、同日の欧州連合(EU)財務相会合では、「過剰反応すべきでない」など規制強化への慎重論が相次いだ。写真はブリュッセルで20日撮影(2016年 ロイター/Francois Lenoir)
大企業や富裕層のタックスヘイブン(租税回避地)利用実態を暴く「パナマ文書」の流出問題をめぐり、23日の欧州連合(EU)財務相会合では、「過剰反応すべきでない」など規制強化への慎重論が相次いだ。
EUの執行機関、欧州委員会は4月12日、大企業の税・財務データの一般公開を義務付ける案を発表。タックスヘイブンでの活動に関する情報も開示させ、多国籍企業の税金に関する透明性を高めるとした。
これに対して企業側からは、データを一般公開すれば、誤解による風評被害が起こる可能性を懸念する声が上がっている。またEUの企業団体は、EU以外の企業がEUの競合他社に関する情報を入手すれば、EU企業の競争力が損なわれる可能性がある、と警戒感を示している。
ドイツのショイブレ財務相は、EU会合後の記者会見で、欧州委員会の計画の実効性を疑問視。「世論に責め立てられることを心配する必要がない場合は、情報開示がしやすくなる」とし、データや情報の開示先は税務当局に限定すべきと主張、一般公開に否定的な見方を示した。
マルタのシクルーナ財務相はパナマ文書に「過剰反応すべきではない」とし、規制を強化し過ぎればEU企業の競争力が低下するリスクがあると警告。「(企業の税務データを)一般公開するのではなく、税当局にのみ公開することが、最初のステップとして望ましい」と述べた。