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朝鮮半島情勢

北朝鮮ミサイル発射――春節への冷や水を浴びた中国

2016年2月8日(月)17時00分
遠藤 誉(東京福祉大学国際交流センター長)

「北のならず者」は中国の足元を見てやりたいほうだい(写真は北京の北朝鮮大使館)Jason Lee-REUTERS

 7日午前、北朝鮮が事実上の長距離弾道ミサイルを発射した。北朝鮮を説得できない中国にとって春節への冷や水とも言える。北朝鮮が発射予告期間を前倒しした期間「2月7日~14日」は、ちょうど中国の春節連休に相当していた。

中国では北朝鮮が「春節」に焦点を当てたとみなしている

 今年の中国の春節は西暦の2月8日だ。毎年一週間ほどの春節連休を設定しているが、今年の連休は「2月7日~2月13日」である。

 そのため2月6日に北朝鮮が発射予定期間をそれまでの「2月8日~2月25日」から「2月7日~14日」と前倒ししたことに関して、中国では「北朝鮮はどうやら春節の時期に照準を当てているらしい」という見方が広がっていた。

 事実、2月6日の中国のネットは「観察者網」が「朝鮮は春節ごろに長距離弾道ミサイルを発射するらしい──王毅がめずらしく厳しい言葉」というタイトルの情報を発信したと伝えた。

「観察者網」自身のURLが見つからないので、確認したい方は、たとえば「網易軍事」や、「中国航空新聞網」などをご覧いただきたい。それらはいずれも「情報源は観察者網」と書いている。

 これは「北朝鮮が、わざわざ発射予告期間を中国で最もにぎやかに祝う春節連休にしたことに対する、王毅外相のいら立ち」を表したものだ。

 その報道の中で、中国政府通信社の「新華網」が2月5日に行われたロシアのラブロフ外相と中国の王毅外相との電話会談における王毅外相の厳しい言葉を報道しているところを見れば、おそらく2月4日に北朝鮮から戻ってきた武大偉・朝鮮半島問題特別代表から、すでに発射予告期間の変更を聞いていたものと推測できる。

 王毅外相はラブロフ外相との電話会談で以下のように述べたとのこと。文中、「朝鮮」とあるのは「北朝鮮」のことで、中国では「北」を付けずに北朝鮮を指すことが多い。

――もし朝鮮がミサイル技術を用いて衛星を発射するとすれば、これは国連安保理決議に違反し、国際社会の同意を得られず、このような挑戦をすることは結果的にもっと大きな対価を支払わなければならい事態を招くだろう。しかし対話こそが朝鮮の核問題を解決する唯一の道だ。対話こそは朝鮮半島問題の唯一の正しい解決の道なのだ。対話は既に失敗に終わっているという声があるが、六カ国協議が中断したここ8年の間に情勢は悪化している。私(=王毅外相)はアメリカのケリー国務長官とも共通認識に達しており、アメリカは「制裁が目的ではなく、対話のテーブルに着くべきだ」と認めている。目下のカギを握っているのは、米朝双方の決断なのである。

習近平国家主席が韓国の朴槿恵大統領と電話会談

 観察者網はさらに、中国の外交部(外務省)が「2月6日に、習近平国家主席と韓国の朴槿恵大統領との間で電話会談が行われた」ことを報道したと伝えている。朴槿恵大統領が習近平国家主席に「安保理の北朝鮮への制裁決議を支持してほしい」と伝えたそうだ。

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