最新記事

日米安保

「思いやり予算」めぐる日米交渉、年10億円超上積みの1893億円で決着

米軍のアジア重視の姿勢から維持・整備に当たる労働者の労務費負担を上積みへ

2015年12月17日(木)08時15分

12月16日、在日米軍駐留経費の日本側負担、いわゆる「思いやり予算」をめぐる日米交渉は、2016年度からの5年間の年平均を1893億円とすることで決着した。写真は沖縄で2013年7年撮影(2015年 ロイター/Nathan Layne)

 在日米軍駐留経費の日本側負担、いわゆる「思いやり予算」をめぐる日米交渉は、2016年度からの5年間の年平均を1893億円とすることで決着した。過去5年間の水準より年10億円超増える。米軍が日本に配備する装備を増強していることを受け、維持・整備に当たる労働者の労務費負担を上積みする。

 日本政府が16日に発表した。5年に1度見直しが行われる同予算は、根拠となる特別協定が来年3月に改定期限を迎える。安全保障法制の成立で自衛隊の役割が拡大するとの立場を取る日本は減額を求めていたが、アジアへの「リバランス(再均衡)」で哨戒機P8や無人偵察機グローバルホークなど、最新装備の配備を計画する米国は増額を要求していた。

 バーやレストラン、図書館など福利厚生施設で働く労働者のうち、日本側が労務費を負担する対象者は4408人から3893人に減らす。一方、装備品の整備士など軍事力に直接関わる労働者の労務費負担対象を1万8217人から1万9285人に増やす。光熱費、基地の維持整備費は減額する。

 2011年度から15年度の現行協定では当初、年平均1881億円で合意した。しかし、人件費の基準となる公務員の給与が減額されたため、実際には年1866億円に抑制された。

 新協定で決まった年平均1893億円も、人件費の増減で変動する可能性がある。初年度は1890億円を見込んでいるが、人事院勧告で公務員給与が増額されるため、想定を上回るのは確実だ。

 (久保信博 編集:田巻一彦)

[東京 16日 ロイター]

120x28 Reuters.gif
Copyright (C) 2015トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ユーロ圏のインフレ率低下へ、条件整えば利下げも=E

ワールド

米上院、国土安保長官の弾劾訴追却下

ビジネス

首都圏マンション、3月平均価格7623万円 反動で

ビジネス

スウェーデン中銀、5月か6月に利下げも=副総裁
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画って必要なの?

  • 3

    【画像】【動画】ヨルダン王室が人類を救う? 慈悲深くも「勇ましい」空軍のサルマ王女

  • 4

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 5

    パリ五輪は、オリンピックの歴史上最悪の悲劇「1972…

  • 6

    人類史上最速の人口減少国・韓国...状況を好転させる…

  • 7

    「イスラエルに300発撃って戦果はほぼゼロ」をイラン…

  • 8

    ヨルダン王女、イランの無人機5機を撃墜して人類への…

  • 9

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 10

    アメリカ製ドローンはウクライナで役に立たなかった

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体は

  • 4

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    帰宅した女性が目撃したのは、ヘビが「愛猫」の首を…

  • 7

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 8

    「もしカップメンだけで生活したら...」生物学者と料…

  • 9

    温泉じゃなく銭湯! 外国人も魅了する銭湯という日本…

  • 10

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 7

    巨匠コンビによる「戦争観が古すぎる」ドラマ『マス…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中