最新記事

ベルギー

「汚い」と酷評された国際都市ブリュッセル

EU3位の金持ち都市なのに、稼いでいるのは外国人か3カ国後を操る市外の住民ばかり

2013年6月26日(水)17時48分
ポール・エイムズ

複雑な事情 ベルギーの首都には課題が山積している Mark Renders/Getty Images

 EUやNATO(北大西洋条約機構)が本部を置く国際色豊かな都市......と思われがちなベルギーの首都ブリュッセルが、外国メディアからの「ダメ出し」に揺れている。

 仏リベラシオン紙は「その醜さと汚さは衝撃的だ」と評し、米ウォール・ストリート・ジャーナル紙は交通渋滞や競争力の低さなどの問題点を列挙。ベルギーメディアや市民からは怒りの声が巻き起こっている。

 もっとも、そうした指摘は的外れではない。都市別の1人当たりのGDP比較ではEUで3位だが、裕福なのは国際機関の職員や外国人駐在員ばかりで、若年層や市民の3分の1を占める移民の失業率は非常に高い。

 背景には多言語国家の複雑な事情が絡む。市民の大半はフランス語話者だが、周囲を取り囲むオランダ語圏のフラマン地域の人々はオランダ語とフランス語(と英語)に堪能だ。ブリュッセルでの仕事の大半は3言語を操れることが条件とされるため、地元民は市外からの30万人の通勤者に職を奪われる。

 さらに市外在住者が納める税金はブリュッセル当局の懐には入らない。深刻な財源不足が続く限り、「欧州の首都」が美しい町に変わる日は遠そうだ。

From GlobalPost.com特約

[2013年6月25日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

日経平均は大幅続落、米金利上昇や中東情勢警戒 「過

ビジネス

午後3時のドルは154円前半で高止まり、34年ぶり

ビジネス

台湾TSMC、1─3月純利益は5%増か AI半導体

ビジネス

第1四半期の中国GDPは予想上回る、3月指標は需要
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無能の専門家」の面々

  • 3

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 4

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 5

    キャサリン妃は最高のお手本...すでに「完璧なカーテ…

  • 6

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 7

    金価格、今年2倍超に高騰か──スイスの著名ストラテジ…

  • 8

    イスラエル国民、初のイラン直接攻撃に動揺 戦火拡…

  • 9

    甲羅を背負ってるみたい...ロシア軍「カメ型」戦車が…

  • 10

    中国の「過剰生産」よりも「貯蓄志向」のほうが問題.…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体は

  • 3

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入、強烈な爆発で「木端微塵」に...ウクライナが映像公開

  • 4

    NewJeans、ILLIT、LE SSERAFIM...... K-POPガールズグ…

  • 5

    ドイツ空軍ユーロファイター、緊迫のバルト海でロシ…

  • 6

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 7

    ロシアの隣りの強権国家までがロシア離れ、「ウクラ…

  • 8

    金価格、今年2倍超に高騰か──スイスの著名ストラテジ…

  • 9

    ドネツク州でロシアが過去最大の「戦車攻撃」を実施…

  • 10

    「もしカップメンだけで生活したら...」生物学者と料…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 7

    巨匠コンビによる「戦争観が古すぎる」ドラマ『マス…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中