最新記事

健康

ニューヨークで注目「電子たばこ」専門バー

煙の代わりにニコチンを含む蒸気を吸う「健康たばこ」にブームの予感

2013年11月11日(月)18時27分
バーバラ・ハーマン

ファン増加中 灰も特有のにおいもない電子たばこは女性にも人気 Shaminder Dulai

「たばこ」と「健康」という言葉が同じ文章で使われなくなって久しい。だが、ニューヨーク初の電子たばこバーの狙いが当たれば、スローフードやアシュタンガヨガのような「健康ブーム」の仲間入りを果たすかもしれない。

 電子たばこはニコチンを含む液体を熱し、煙の代わりに蒸気を吸う。従来のたばこのような灰もタールもなく、特有のにおいもしない。今夏ソーホーに登場したヘンリー・ベイポリアムは、酒ではなく電子たばこをたしなむバー。電子たばこを啓蒙する社交の場でもある。カウンターのスツールに腰掛けた客は蒸気を吐きながら、白衣姿の「ベイポロジスト」の解説に耳を傾ける。

 共同経営者のタリア・アイゼンバーグは20代の元画廊オーナーだ。コロラド州ボールダーに住んでいた数年前に「パーティーガール」を卒業した。

 改心した彼女はエクササイズをして、体に良い食べ物を選んだ──正確には、喫煙の合間に健康的な生活に励んだ。「登山の途中でたばこ休憩を取っていた。やめなければいけないことは分かっていたけど」

 そんなときに電子たばこと出合い、たばこはすっぱりやめたという。アイゼンバーグは急成長していた電子たばこ業界に参入しようと決めて、2年前に複数の起業家と電子たばこのブランド「ヘンリー」を立ち上げた。

やがては規制の対象に?

 ヘンリー・ベイポリアムはそのアンテナショップでもある。約250平方メートルの店内では、吸い切りタイプや詰め替え用カートリッジの電子たばこを試せる(18歳以上に限る)。ニコチン含有量は0〜24ミリグラムと幅があり、フレーバーは80種類以上ある。

 10種類以上の低温圧搾(コールドプレス)のジュースや有機栽培のコーヒー、完全菜食主義の料理を提供するコーナーも近く開設される。ライブや映画上映、トークイベントなどができる文化の拠点にもしたいと、アイゼンバーグは考えている。

 電子たばこは「健康」や「安全」をうたうことが法律で禁止されており、今のところ米食品医薬品局(FDA)の規制の対象外だ。ただし、それも時間の問題かもしれない。40以上の州の司法長官がFDAに対し、電子たばこをたばこと同じような扱いにして、広告や成分を規制し、特に未成年への販売を禁止するよう求めているのだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米英欧など18カ国、ハマスに人質解放要求 ハマスは

ビジネス

米GDP、第1四半期は+1.6%に鈍化 2年ぶり低

ビジネス

米新規失業保険申請5000件減の20.7万件 予想

ビジネス

ECB、インフレ抑制以外の目標設定を 仏大統領 責
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP非アイドル系の来日公演

  • 3

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令

  • 4

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 5

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 6

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 7

    やっと本気を出した米英から追加支援でウクライナに…

  • 8

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 9

    自民が下野する政権交代は再現されるか

  • 10

    ワニが16歳少年を襲い殺害...遺体発見の「おぞましい…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中