最新記事
考古学

エジプトの古代の交易路で発見された「1万年以上前に描かれた岩絵」...何が描かれていた?

2026年2月17日(火)18時35分
エリザベート・ローレンス
シナイ半島をラクダに乗っていく人

シナイ半島は太古の昔から重要な交易路だった ZUMA Press Wire-REUTERS

<エジプトの古代遺跡はピラミッドだけではない>

エジプト観光考古省および同省の考古最高評議会は2026年2月13日、南シナイ半島のウム・アラク高原で1万年以上前に描かれた岩絵を含めた、大規模な遺跡を発見したと発表した。

【写真】エジプト観光考古省が公表した、岩絵を含む遺跡

調査団はこの遺跡を「新たに特定された遺跡の中でも特に歴史的、芸術的に並外れた価値を持つ最も重要な遺跡の1つ」と評価している。


ウム・アラク高原は南シナイ県にある、銅やトルコ石で有名なセラビット・エル・カディム遺跡から北東約5キロに位置しており、この辺りは古くから交易路としても知られてきた。

この岩陰は東側斜面に沿って100メートル以上にわたり、崖が内側にえぐられてできた奥行き2〜3メートル、入口付近の天井高は約1.5メートルの自然のシェルターとなっている。

壁面と天井部には赤色や灰色の顔料で描かれた狩猟を行う人物や動物、幾何学的な図形など、様々な岩絵が確認された。最古のものは紀元前1万年〜紀元前5500年頃に描かれたとされ、初期の狩猟採集社会の生活と密接に関連する可能性が高いと見られる。

エジプトの月刊誌『エジプト・トゥデイ』などによると、岩絵は先史時代の絵に限られず、ナバテア人による碑文やアラビア語系の文字など、古代から中世にかけて描かれた図や文字も数多く確認されている。

さらに、遺跡からはエジプト中王国時代や3世紀のローマ時代の道具や陶器の破片も発見されていることからも、この遺跡が長きにわたって監視所や集会、休憩の場として利用されていたと考えられている。

考古最高評議会の考古保存記録部長であるヒシャーム・エルレイシー博士は、この遺跡の岩絵は近年発見された岩絵の中でも、最も重要な遺跡の1つだと指摘。年代的・技術的に多様性に富む岩絵は「先史時代からイスラム時代に至るまでの人類の芸術的・象徴的表現の発展を記録した野外自然博物館だ」とその重要性を語った。

エルレイシーは、遺跡の保護に加え、碑文や岩絵の研究と分析は今後とも続けられると述べている。

【関連記事】
【動画】ケンブリッジの暴力的な歴史を物語る、発見された埋葬坑
【動画】ピラミッドで謎の不快感に襲われた女性...その後どうなった?

ニューズウィーク日本版 教養としてのミュージカル入門
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2026年3月17号(3月10日発売)は「教養としてのミュージカル入門」特集。社会と時代を鮮烈に描き出すポリティカルな作品の魅力[PLUS]山崎育三郎ロングインタビュー

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら



まちづくり
川崎が「次世代都市モデルの世界的ベンチマーク」に──「世界に類を見ない」アリーナシティプロジェクトの魅力
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

イーライリリー、中国に10年で30億ドル投資へ 肥

ビジネス

米CPI、2月前年比+2.4%上昇で前月と変わらず

ワールド

ホルムズ海峡付近で3隻に飛翔体、タイ船の火災で3人

ビジネス

IEA、最大規模の石油備蓄放出勧告へ 計4億バレル
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのミュージカル入門
特集:教養としてのミュージカル入門
2026年3月17日号(3/10発売)

社会と時代を鮮烈に描き出すミュージカル。意外にポリティカルなエンタメの「魔力」を学ぶ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開された皇太子夫妻の写真が話題に
  • 4
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 5
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 6
    40年以上ぶり...イスラエル戦闘機「F-35I」が、イラ…
  • 7
    「一日中見てられる...」元プロゴルファー女性の「目…
  • 8
    人間ダンサーを連れて「圧巻のパフォーマンス」...こ…
  • 9
    イランがドバイ国際空港にドローン攻撃...爆発の瞬間…
  • 10
    ホルムズ海峡封鎖、石油危機より怖い「肥料ショック」
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで続くのか
  • 4
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 5
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 6
    【長期戦はイラン有利】米側の体制転覆シナリオに暗…
  • 7
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 8
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 9
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 10
    日本の保護者は自分と同じ「大卒」の教員に敬意を示…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 5
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 6
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 7
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中