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EVシフトの中、トヨタのFCV開発者が水素燃料の未来を語る

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2017年11月14日(火)12時00分
ニューズウィーク日本版ウェブ 広告制作チーム

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エネルギーの選択肢をたくさん持つことの大切さ

ここで田中氏は、電気と水素の特性の違いについて触れた。

「電気を大量に蓄えるのは難しい。一方で水素は、貯蔵したり運んだり、いわゆるエネルギーキャリアとして優秀です。また、太陽光発電は発電時にCO2が発生しないので、地球温暖化を抑止するという観点からは素晴らしいのですが、自然条件に左右されるため電気の安定供給という点では問題もあります」

そこで例えば――と田中氏が述べるのは、太陽光発電で発電した電気から水素をつくり、水素として蓄えたり運んだりするというアイデアだ。

「特に資源を持たない日本では、オンリー水素、オンリー電気ではなく、エネルギーの選択肢をたくさん持ち、賢くミックスさせることが大事だと考えています」

では、各地に水素ステーションを設置してそこに水素を貯蔵。同時に設置型の燃料電池も置いて発電し、FCVもEVも使えるステーションにするのはどうだろうか。

「実現するかは分かりませんが、運びやすくて貯めやすい水素の特性を考えれば、そういうアイデアが生まれるのも当然でしょう。現在のEVの急速充電器は、5万ワットもの電力を使います。これが何千台、何万台も一度に充電することになると、電力消費の平準化の真逆を行くことになります。FCVとEVは適材適所で、互いに支え合う存在にならないといけません」

快適なドライブを提供する「本当にいいクルマ」

閑話休題。硬い話になってしまったが、MIRAIはエコカーとして優秀なだけでなく、クルマとしても楽しい乗り物だった。

ある程度まで回転数が上がらないとパワーが出ないエンジンと違って、モーターは電気が流れた瞬間に最大のトルクが立ち上がる。だからアクセル操作に対するレスポンスが鋭いのだ。モーターからは振動も音もほとんど感じられないから、快適なドライブも提供してくれる。

ほかにも快適な乗り心地や安定したコーナリングなど、MIRAIには着目したいポイントがいくつも見つけられる。筆者が運転した感想を伝えると、田中氏は力強くうなずいた。

「MIRAIを開発していたときに、社長の豊田から"FCVなので環境にいいのは当たり前。本当の意味でいいクルマにしてほしい。そうしないとお客様に選んでいただけない"と言われました。そのため、環境性能だけでなく走りへのこだわりも満載しています」

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「MIRAIは重量のある燃料電池や水素タンクをボディ下部に収めているので重心が低くなり、エンジンをドライバーの背後に置くミッドシップ車のような前後の重量配分になります。だから、走って楽しいクルマになるんです」と田中氏

そして田中氏は、「MIRAIに乗りたいから水素ステーションを増やしてほしい、そう言われるようなクルマを目指しました」と言って白い歯を見せた。

実際、試乗して「すぐに欲しい!」と手を挙げた顧客もいたらしい。もし試乗する機会があれば、MIRAIが今までのクルマとは異なるFUN TO DRIVE(ファン・トゥ・ドライブ)を体験させてくれることを理解してもらえるはずだ。

たかが4000台、されど確かな未来への一歩

現在、地球上を走るMIRAIの数は約4000台。2014年の販売開始以来、生産能力を高めてきたが、新技術のため現状では年産3000台程度なのだ。トヨタは今、MIRAIを量産すべく研究を重ねている。田中氏によれば「2020年頃には生産規模を10倍にしたい」とのことだ。

同時に「生産規模を10倍にするということは、工場の能力を上げるだけでなく、モノづくりの考え方から変えないといけません」とも語った。

「たかだか4000台ですが、確かな一歩でもあります。やっとスタート地点に立ったMIRAIを、皆さんと育てていきたい」と田中氏は言う。

「トヨタという会社には、産業報国という、クルマをつくることで国や社会に貢献したいという想いがあります。もともと水素の有用性を指摘する声はありましたが、実際に使う手段がないと水素に光が当たりません。でもMIRAIの登場によって、水素にも注目が集まり、これまで活用していなかった下水や汚泥から水素を製造するようなイノベーションも始まっている。このクルマが、より豊かな未来の選択肢につながるとありがたい、そんな風に考えています」

田中氏の話を聞いていると、電気だけでも水素だけでもうまく行かないことが理解できた。田中氏が言うように、選択肢をたくさん持ち、使い分けることが大切だ。

そして単にエコカーであるだけではなく、まだ認知度が低い水素に光を当て、私たちを未来へと導く役を担うのがトヨタのMIRAIなのである。

toyotamiraiTU-7v2.jpg田中義和
1961年生まれ。京都大学工学部、同大学院を修了して87年にトヨタ自動車入社。オートマチックトランスミッションのハード開発、制御開発を担当した後に2006年に製品企画部門へ異動。プリウスPHVの開発責任者を務めた後に、2012年よりMIRAIの開発責任者に就任した。PHV、FCVとトヨタの電動化を最もよく知る1人である。

Text:サトータケシ
Photo:若林聖人(インタビュー)

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