最新記事

台湾

中国語を話したくない台湾人たち──「台湾語」が流行中

2022年5月3日(火)16時55分
神田桂一(ライター)
茄子蛋

台湾語ロックバンド茄子蛋の代表曲「浪子回頭」YouTubeより

<台湾語とは何か。それを使うことに何の意味があるのか>

台湾の若者の間で今、台湾語が流行していることはあまり知られていない。

背景にあるのは台湾人意識(台湾人としてのアイデンティティー確立や独立意識)の高まりだ。

台湾語とは通常は閩南(びんなん)語を指し、台湾の公用語である中国語(華語、国語と呼ばれる)とは異なる。国民党が1945年に台湾入りする前、現在の福建省から台湾南部に移住してきた人々が話していた言語だ。

現役世代からすれば、おじいちゃん、おばあちゃんが話していた言葉。その台湾語を使うことで自らのアイデンティティーをより強固にするということなのだろう。

「私たちが使っていかないと、あと5~10年で台湾語は消えてしまう」と危機感を示す若者も少なくない。

「中国と同じ言語を使いたくない」と主張する者もいる。

台湾語ロックバンド茄子蛋の代表曲「浪子回頭」


それはカルチャーの分野にも広がっていて、人気の台湾語ロックバンド茄子蛋の代表曲「浪子回頭」はYouTubeの再生回数が1億回超。拍謝少年も台湾語ロックバンドとして有名だ。漫画や文学にも広がりを見せている。

1987年まで続いた戒厳令時代には、迫害されていた歴史も持つ台湾語。押し付けられた中国語を捨て、公用語にする日は来るのだろうか。

[筆者]
神田桂一
『POPEYE』『ケトル』『スペクテイター』『週刊現代』『論座』などで執筆。著書に『もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら』(宝島社・菊池良と共著)。映画『響』劇中小説執筆。近著に『台湾対抗文化紀行』(晶文社)。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米新規失業保険申請5000件減の20.7万件 予想

ビジネス

ECB、インフレ抑制以外の目標設定を 仏大統領 責

ビジネス

訂正-メルセデス、中国パートナーとの提携に投資継続

ビジネス

ホンダ、カナダにEV生産拠点 電池や部材工場含め総
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 3

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令

  • 4

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 5

    マイナス金利の解除でも、円安が止まらない「当然」…

  • 6

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 7

    ワニが16歳少年を襲い殺害...遺体発見の「おぞましい…

  • 8

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 4

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 5

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中