最新記事

韓国

「TWICEサナに手を出すな!」 日本人排斥が押し寄せる韓国でベテラン俳優が問題提起

2019年8月22日(木)18時27分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネーター)

未来のK-POPスターを目指してソウルの若者が集まるエリア弘大の路上でパフォーマンスをする日本人練習生 REUTERS/Kim Hong-Ji

<近年、K-POPの世界に日本の若者たちが身を投じて活躍しはじめたが、日韓関係が急速に悪化し、日本人芸能人排斥論が彼らを苦しめている──>

また一人、国境を越えて夢をつかんだアイドルが誕生した。今月7日、元AKBの高橋朱里が、6人組のK-POPガールズグループ「Rocket Punch(ロケットパンチ)」のメンバーとしてデビューした。

高橋朱里は、2012年からAKBのシングル代表曲の選抜メンバーとして活躍し、AKB総選挙では最高11位を記録。また、日韓で企画制作されアジア各国で放送されたオーディション番組『プロデュース48』でも最終16位に入っており、日韓でともに人気を集めていた。今年の3月にAKBを卒業し、韓国でデビューすることが決定したのだが、最近では連日のように日本製品ボイコットや不買運動などが叫ばれるほど日韓関係悪化のニュースが賑わっているなかでの日韓混成アイドルのデビューだ。注目度が上がったのは言うまでもなく、実際デビューショーケースでは、韓国メディアの記者から「日韓関係が悪い中、韓国デビューをする心境は?」といった質問が出るなど、多くの質問は高橋に向けられたものだった。

ストレスで活動休止したTWICEミナ

newsweek_20190822_181839.jpg

TWICEミナの活動休止を伝える韓国KBSニュースより

ここ最近、韓国では日本人芸能人排斥の波がじわじわと押し寄せている。日本でも活躍中のTWICEのミナは、先月5日、日本の音楽番組出演のため他のメンバーとともに日本に来たものの、体調不良のため出演を取りやめ、13日シンガポールで行われたワールドツアーの参加も見合わせた。所属事務所JYPエンターテインメントは14日「ミナは突然の極度の心理的緊張状態と不安感で舞台に立つことができなくなった」と発表。同時に「公知させて頂いたミナの健康状態及び、これと係わる他のメンバーに対する悪性な書き込みが、アーティストに対する誹謗、名誉毀損に至るほどに深刻な状態であるのを確認した。法的措置を即刻で講ずる」とも宣言している。

このことから、ミナの今回の不参加は「日本人芸能人排斥運動に対する精神的ストレスではないか」とも言われている。確かに、日本との関係がこじれるにつれ、韓国では日本製品不買などのボイコットが始まり、その後日本人アーティストへのネット上での批判がひどくなっているのは明らかだ。ミナは大阪の自宅で休養後、8月1日に韓国に戻ったが、到着した空港で涙を流す姿に多くのファンは心を痛めた。

他にも、元AKBの竹内美宥は、7月に韓国で歌手デビューを控えていたが延期が発表された。プロデューサーのユン・ジョンシンは、SNSを通じて、日韓関係悪化とその影響が延期の原因と発表している。このように日韓関係は政治だけにとどまらず、じわじわと両国の芸能界にも影響し始めている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=続伸、マグニフィセント7などの決算に

ビジネス

NY外為市場=円、対ユーロで16年ぶり安値 対ドル

ビジネス

米テスラ、新型モデル発売前倒しへ 株価急伸 四半期

ワールド

原油先物、1ドル上昇 米ドル指数が1週間ぶり安値
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 2

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の「爆弾発言」が怖すぎる

  • 3

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 4

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 5

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 6

    「なんという爆発...」ウクライナの大規模ドローン攻…

  • 7

    イランのイスラエル攻撃でアラブ諸国がまさかのイス…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 10

    ロシア、NATOとの大規模紛争に備えてフィンランド国…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 7

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 8

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 9

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 10

    ダイヤモンドバックスの試合中、自席の前を横切る子…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中