最新記事

大学

公立校もアイビーも「ほぼ男女同数」が合格・入学する

高校生が東大を蹴って海外へ!? 世界トップクラスの大学が集まるアメリカで期待される6つの学生像(3)

2015年12月29日(火)07時55分

集え、優秀なリケジョ 期待される学生像の第5は「多様な人材」であり、第6は「とにかく凄い人材」。名門校が多様化を進めたのは70年代以降と歴史は浅いが、すでに合格者数から最終入学者数まで「ほぼ男女同数」となっており、一流理系大学も例外ではない(MITのキャンパス) Sean Pavone-iStockphoto.com

 今、新しいタイプのアメリカ留学ブームが起きていると、本誌ウェブコラム「プリンストン発 日本/アメリカ 新時代」でお馴染みの在米ジャーナリスト、冷泉彰彦氏は言う。グローバル化の潮流を背景に、日本の優秀な高校生が「アイビーリーグ」の8校をはじめとするアメリカの一流大学を志望する、全く新しい動きが起こっているのだ。

 実は冷泉氏は、1997年以来、ニュージャージー州にあるプリンストン日本語学校高等部で進路指導にあたってきた。プリンストンやコロンビア、カーネギー・メロンなど多くの名門大学に高校生を送り出してきた経験をもとに、『アイビーリーグの入り方――アメリカ大学入試の知られざる実態と名門大学の合格基準』(CCCメディアハウス)を上梓した冷泉氏。アメリカの高等教育の仕組みから、秘密のベールに包まれた「アイビーリーグ入試」の実態、厳選した名門大学30校のデータまでを1冊にまとめている。

 アメリカの各大学では「アドミッション・オフィス(Admission Office=入試事務室)」という組織が入試の実務を担っている。日本の「AO入試」は簡易型の選考というイメージが出来上がってしまっているが、それとは全く違い、AOは高度な専門職だと冷泉氏は説明する。

 これまで3回、本書の「Chapter 1 志望校をどうやって選ぶのか?」から一部を抜粋したが、それに続き「Chapter 3 入試事務室は何を考えているのか?」から一部を抜粋し、3回に分けて掲載する。アメリカの大学では、どんな学生が求められているのだろうか。

<*下の画像をクリックするとAmazonのサイトに繋がります>


『アイビーリーグの入り方
 ――アメリカ大学入試の知られざる実態と名門大学の合格基準』
 冷泉彰彦 著
 CCCメディアハウス

※第1回:これまでと違う「アメリカ留学ブーム」が始まっている はこちら
※第2回:アイビーに比肩する名門のリベラルアーツ・カレッジがある はこちら
※第3回:アメリカの女子大には「上昇志向の強い」女性が集まる はこちら
※第4回:米大学がいちばん欲しいのは「専攻が決まっている学生」 はこちら
※第5回:教職員や卒業生の子供が「合格しやすい」のは本当? はこちら

◇ ◇ ◇

期待される学生像「多様な人材を世界中から」

 アメリカの名門私立大学、特にアイビーリーグ加盟校に関しては、「入学させる学生の多様化」を進めた歴史というのは、実は比較的浅いのです。

 例えば女子学生の入学許可に関しては、1970年代まで認められていませんでした(創立直後から共学であったコーネルを除く)。それまでは、例えばハーバードはラドクリフ・カレッジ、コロンビアはバーナード・カレッジという文字通り「姉妹校」である女子大学を併設していて女子学生は「そちらへ」という時代が長く続いていたのです。

 ちなみに、70年代に一気に「男女共学(Co-Ed コ・エド)」が実現すると、ラドクリフ・カレッジはハーバードに合併されて、ラドクリフに入学した学生も卒業する時にはハーバードの学士号を得ていきました。

 皇太子妃の雅子妃殿下はちょうどその年代に当たりますが、雅子妃より年長であるキャロライン・ケネディ駐日米国大使はラドクリフの卒業生です。一方のバーナード・カレッジは現在でも、コロンビアの姉妹校である名門女子大学としてニューヨークの教育界に大きな存在感を持っています。

 そうした「共学化」がされる前のアイビーというのは、白人の男子学生が圧倒的な多数を占める文字通りの「お坊ちゃん学校」でした。彼らの多くは代々がその大学の卒業生という「レガシー枠」でありましたし、各大学に併設された「プレップスクール(Prep School)」という私立進学校から「エスカレーター式」に進学してきた学生も多かったのです。

 もちろん、そうした「前世紀のアイビー」も教育内容に関しては一流を目指していましたし、事実そうした中からアメリカを背負うリーダーや、優秀な学者たちは育っています。ですが、それもこれも、白人男性優位という時代の枠組みの中でのことでした。

 1970年代以降のアメリカの大学は段階を追って多様な人材を集めていくようになりました。まず、女性の問題があります。70年代から80年代にかけてが「男女共学」の体制の確立期であったとすると、90年代から2000年代は完成期であったと言えます。

 現在は、一部の理系専門の大学を除いて、公立大学のほとんどすべてに加えて、アイビーをはじめとする名門私立大学に至るまで、合格者数から最終入学者数に至るまで「ほぼ男女同数」になるというところまで来ています。

 この問題に関して言えば、例えばハーバードでは元合衆国連邦財務長官(日本の財務大臣+金融大臣に相当)を務めたローレンス・サマーズ氏が学長を務めていたのですが、サマーズ氏は何を考えたのか「理系の技術者にはやはり女性は不向きだ」などという「大失言」をやらかして、学長のイスを追われています。

ニュース速報

ビジネス

イタリア、ESMに150億ユーロの支援要請へ=スタ

ワールド

インドネシア・アチェの地震で50人以上が死亡、不明

ワールド

タイ、新国王への不敬罪容疑でBBCを捜査=国防相

ビジネス

中国の資本規制強化、企業活動の妨げと欧米の商工会議

MAGAZINE

特集:THE FUTURE OF WAR 未来の戦争

2016-12・13号(12/ 6発売)

AI、ドローン、ロボット兵士......進歩する軍事技術は 新時代の戦場と戦闘の姿をここまで変える

人気ランキング

  • 1

    トランプ-蔡英文電話会談ショック「戦争はこうして始まる」

  • 2

    インターポールも陥落、国際機関を囲い込む中国の思惑

  • 3

    トランプ、ボーイングへのエアフォース・ワンの注文取り消しを要請

  • 4

    トランプ氏、ツイッターで中国批判 為替・南シナ海…

  • 5

    金正恩氏の核開発と「拷問・処刑」の相関関係

  • 6

    人民元、関税、南シナ海──トランプの対中批判はどこ…

  • 7

    ネパールの被災地に巣くう人身売買ビジネス

  • 8

    「トランプとプーチンとポピュリストの枢軸」が来年…

  • 9

    安倍首相の真珠湾訪問は、発表のタイミングもベスト

  • 10

    実録・昏酔強盗、警察も対応不能な驚きの「完全犯罪」

  • 1

    トランプ-蔡英文電話会談ショック「戦争はこうして始まる」

  • 2

    トランプ氏、ツイッターで中国批判 為替・南シナ海めぐり

  • 3

    イギリス空軍、日本派遣の戦闘機を南シナ海へ 20年には空母も

  • 4

    「3.9+5.1=9.0」が、どうして減点になるのか?

  • 5

    内モンゴル自治区の民主化団体が東京で連帯組織を結…

  • 6

    インターポールも陥落、国際機関を囲い込む中国の思惑

  • 7

    新卒採用で人生が決まる、日本は「希望格差」の国

  • 8

    トランプ、ボーイングへのエアフォース・ワンの注文…

  • 9

    東京は泊まりやすい? 一番の不満は「値段」じゃな…

  • 10

    偽ニュース問題、米大統領選は始まりに過ぎない?

  • 1

    トランプファミリーの異常な「セレブ」生活

  • 2

    「トランプ勝利」世界に広がる驚き、嘆き、叫び

  • 3

    注目は午前10時のフロリダ、米大統領選の結果は何時に分かる?

  • 4

    68年ぶりの超特大スーパームーン、11月14日に:気に…

  • 5

    トランプに熱狂する白人労働階級「ヒルビリー」の真実

  • 6

    米大統領選、クリントンはまだ勝つ可能性がある──専…

  • 7

    トランプ勝利で日本はどうなる? 安保政策は発言通…

  • 8

    【敗戦の辞】トランプに完敗したメディアの「驕り」

  • 9

    安倍トランプ会談、トランプは本当に「信頼できる指…

  • 10

    「ハン・ソロとレイア姫」の不倫を女優本人が暴露

PICTURE POWER

レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい

日本再発見 「五輪に向けて…外国人の本音を聞く」
リクルート
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
メールマガジン登録
売り切れのないDigital版はこちら

MOOK

ニューズウィーク日本版別冊

『ハリー・ポッター』魔法と冒険の20年

絶賛発売中!

STORIES ARCHIVE

  • 2016年12月
  • 2016年11月
  • 2016年10月
  • 2016年9月
  • 2016年8月
  • 2016年7月