最新記事

株の基礎知識

【展望】2022年の株式相場は2018年相場に近いものになる?

2022年1月5日(水)10時55分
朋川雅紀 ※かぶまどより転載

bagi1998-iStock.

<3~4年を株価サイクルの基本と考え、その方法で勝ち続ける投資家による2022年のマーケット展望。何を懸念し、何月頃どのように動くのがよいか>

マーケット展望──2022年に向けて

2021年も残すところ1か月となりましたので、2022年に向けて株式市場はどのような展開になるかを考えてみたいと思います(編集部注:本記事は「かぶまど」で2021年12月1日に公開された記事の転載です)。

ここでの目的は、ひとつのシナリオ(メイン・シナリオ)を示すことで、株価のイメージを皆さんと共有することです。

当然のことながら、正確に将来のマーケットを予測することはできません。しかし、正確に予測できないからと言って、将来のマーケットについて何も考えなくていい、ということにはなりません。何も考えずにただ漠然とマーケットに対峙しても、成功できませんし、成長もありせん。

では、どうすればいいでしょうか。ここでは、世界の株式市場に最も強い影響力を持っているアメリカ市場について、具体的に見ていきたいと思います。

まず、仮説を立てます。新たな情報を入手した都度、必要に応じてその仮説を修正する作業を繰り返します。投資戦略を立案する上で、事前の準備は非常に有意義な作業だと思っています。

【仮説】2022年相場は2018年相場に近い?

将来のマーケットは過去のマーケットと全く同じということはありませんが、似たような動きをすることはよくあります。そこで、現在の相場環境と似ている過去の相場環境を探してみます。と同時に、現在の相場環境に特殊性がないかどうかも確認します。

特殊性というのは、通常の市場(株価)サイクルを拡大させる、あるいは縮小させるような要因です。例えば、1990年代後半のインターネット・ブームは株価サイクルを拡大させる要因になりましたし、2020年の新型コロナウイルスによるパンデミックは株価サイクルを縮小(破壊)させました。

2022年にまたそのようなことが起こるかもしれませんが、今のところは、通常の株価サイクル(3~4年)を基本と考えたいと思います。保守的な見方を取り、多くの分野でイノベーションが起こってリターンの押し上げ効果があったとしても株価サイクルへの影響は限定的、とします。

■株価にはサイクルがある

私が3~4年を株価サイクルの基本と考えるのは2つの理由があります。ひとつは、アノマリーの(周期性)の回でも触れましたが、アメリカの株価サイクルは政治(大統領選挙)に大きな影響を受ける傾向があるということです。

もうひとつの理由は、株価サイクルが起きる背景にあります。株式市場が2年、3年と上昇すると、過去2年、3年に株を買った人は、全員が含み益になっているはずです。株を買うのは株で儲けたいと思うからで、そのためには株を売らなければ利益を実現できません。

そこで、何か悪材料が出て売りが出始めると、これまで積み上げてきた含み益を失いたくないという思いから、慌てて売る人が続出します。売りが売りを呼び、売り疲れが起こるまで株価は下げ続ける傾向にあります。こうして、ひとつの株価サイクルが終わり、次の株価サイクルが始まるのです。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

スーダン内戦1年、欧米諸国が飢餓対策で20億ユーロ

ワールド

香港の国家安全条例、英では効力なく市民は「安全」=

ワールド

ザッカーバーグ氏個人の責任は認めず、子どものSNS

ビジネス

中国・百度のAIチャットボット「アーニー」、ユーザ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無能の専門家」の面々

  • 3

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 4

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 5

    キャサリン妃は最高のお手本...すでに「完璧なカーテ…

  • 6

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 7

    金価格、今年2倍超に高騰か──スイスの著名ストラテジ…

  • 8

    イスラエル国民、初のイラン直接攻撃に動揺 戦火拡…

  • 9

    甲羅を背負ってるみたい...ロシア軍「カメ型」戦車が…

  • 10

    中国の「過剰生産」よりも「貯蓄志向」のほうが問題.…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体は

  • 3

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入、強烈な爆発で「木端微塵」に...ウクライナが映像公開

  • 4

    NewJeans、ILLIT、LE SSERAFIM...... K-POPガールズグ…

  • 5

    ドイツ空軍ユーロファイター、緊迫のバルト海でロシ…

  • 6

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 7

    ロシアの隣りの強権国家までがロシア離れ、「ウクラ…

  • 8

    金価格、今年2倍超に高騰か──スイスの著名ストラテジ…

  • 9

    ドネツク州でロシアが過去最大の「戦車攻撃」を実施…

  • 10

    「もしカップメンだけで生活したら...」生物学者と料…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 7

    巨匠コンビによる「戦争観が古すぎる」ドラマ『マス…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中