最新記事

インタビュー

「社員の生産性」より「より良い仕事体験」が主流に

2017年10月27日(金)16時09分
WORKSIGHT

仕事と生活のプラットフォームが同じになった

前編で、オフィスの進化のステップとして、効率を重視する「テーラリスト・オフィス」、コミュニケーションを重視する「ソーシャル・デモクラティック・オフィス」、人やモノをデジタルでつなぐことを重視する「ネットワークド・オフィス」があること、さらに都市との有機的なつながりやワーカーの生活と仕事の融合を重視する「フュージョンオフィス」の時代へ進んでいくだろうと説明しました。

WeWorkのような企業が今やWeLiveに移行しようとしているのは驚きではありません。「生活×仕事場」の試みは1990年代後半にも見られました。今では多くの人が家で仕事をしていますし、出勤前にもメールチェックをしたりします。オフィスに着いたら着いたで仕事の合間にフェイスブックを見たりする。スマートフォンには部下からの報告メールも、友人からのテニスの誘いのメールも入ってきます。

要は仕事と生活のプラットフォームが同じになったということです。ネットワークド・オフィスからフュージョンオフィスへの変化は視覚的にはとらえにくいですが、本質的な部分では大きく変化していると思います。

好むと好まざるとに関わらず、ますます多くの人が週末に働くようになるでしょう。「企業が自分の人生を支配している」とか「制度が自分の人生を支配している」と嘆くことになるかもしれません。終業ベルが鳴って退社すれば仕事から解放された時代はもう過去のもので、今はそうとは限らない。常に仕事がそばにある状態なので、とても複雑です。

wsMyerson171027-2.jpg

ビジネスの技術的側面だけでなく、社会的側面も管理するのがスマートビル

技術の進化がワークスタイルに与える変化ということでいえば、人工知能の発達は1つのトピックといえるでしょう。一部の職種は人工知能に取って代わられることもあるでしょうが、これは取り立てて新しい現象ではありません。これまでも機械化により事務員や工場の組立工が転職を余儀なくされてきたわけですから。

本当に興味深いのは人工知能、ニューラルネットワーク、インタラクティブ・コンピューティングといった技術が、ワークプレイスにどんな波をもたらすかということです。コンピュータを増強された知能とみなして、人間が制御し、管理し、活用して、より多くの仕事が生まれる可能性もあります。

全てがネットワーク化されたスマートビルでも、セキュリティやエネルギー制御などにおいてロボットが活躍することになるでしょう。IoTの進化により、その変化は避けられないと思います。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米P&G、通期コア利益見通し上方修正 堅調な需要や

ワールド

男が焼身自殺か、NY裁判所前 トランプ氏は標的でな

ビジネス

ECB、6月以降の数回利下げ予想は妥当=エストニア

ワールド

IMF委、共同声明出せず 中東・ウクライナ巡り見解
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離れ」外貨準備のうち、金が約4%を占める

  • 3

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負ける」と中国政府の公式見解に反する驚きの論考を英誌に寄稿

  • 4

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 5

    「韓国少子化のなぜ?」失業率2.7%、ジニ係数は0.32…

  • 6

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 7

    日本の護衛艦「かが」空母化は「本来の役割を変える…

  • 8

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 9

    毎日どこで何してる? 首輪のカメラが記録した猫目…

  • 10

    便利なキャッシュレス社会で、忘れられていること

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 4

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 7

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 8

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 9

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 10

    大半がクリミアから撤退か...衛星写真が示す、ロシア…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中