最新記事

投資

芸人から「億り人」になった井村俊哉、今度はファンド運営へ

2023年1月6日(金)11時45分
元お笑い芸人で投資家の井村俊哉氏

三井松島HDや富山第一銀行、住石HDなど、保有銘柄の株価が軒並み上昇し、注目を集める元お笑い芸人の井村俊哉氏(38)が2023年以降、個人投資家からファンド運営に活動の軸足を移す。昨年12月、都内で撮影(2023年 ロイター/Issei Kato)

三井松島HDや富山第一銀行、住石HDなど、保有銘柄の株価が軒並み上昇し、注目を集める元お笑い芸人の井村俊哉氏(38)が2023年以降、個人投資家からファンド運営に活動の軸足を移す。井村氏はロイターとのインタビューで、今後は個人投資家としては保有銘柄を拡大せず、将来的に「日本の家計に貢献する」ファンドマネジャーとしての歩みに本腰を入れていくと表明した。

海運・石炭株のきっかけ与えた人物とファンドを準備

井村銘柄──井村氏が手掛ける株は最近こう呼ばれる。保有が判明しただけで投資家の買い注文が殺到するためだ。本源的な価値が100億円の企業に市場で50億円の金額がついているといった、アルファ(超過収益)のある銘柄を見抜いて集中的に投資する手法に対し、井村氏の実績を知る投資家が瞬時に群がってくる。富山第一銀行、住石HDは保有判明後にストップ高を演じた。

井村氏は2011年に元手100万円で本格的に株式投資を始め、17年には通算運用益が1億円を突破、ここ数年は2倍、3倍と増やし昨年末には55億円に達したという。徹底した調査・分析でアルファのある企業を探し求め、「何度も痛い目に遭ったが、投資をやめようと思ったことは一度もない。生涯投資を続けるのは間違いない」。その生涯投資家をファンド設立という挑戦に駆り立てたのは、自分の投資に「社会的な意味を持たせたい」との思いだと語る。

ファンドの運用を考え始めたのは2019年ごろ。これまでも行動は起こしてきたが、「機が熟した。今年には何らかの動きが出てくる」段階まで来た。井村氏が「個別株に対する造詣の深さで彼以上の人はいない」と評し、海運株や石炭株への投資のきっかけを与えたという人物とともに、投資方針や事業計画を現在策定中だ。初期の段階ではプロ向けに絞る可能性もあるものの、いずれは誰もが資金を投資できるような形で「大きなミッションとして日本の家計に貢献したい」という。

自身の投資資金をファンドに投入することも選択肢として考えており、先々は運用総額10兆円の大型ファンドに育てる青写真まで描く。かつて芸人としての年収が3万円の生活を経験し、個人投資家として次第に頭角を現し、今度は本格的に他人の資金を運用するファンドマネジャーに転身する。立場は変わっても「アルファの獲得にこだわる」姿勢は今後も変わることはない。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

NY外為市場=ドル一時155円台前半、介入の兆候を

ビジネス

米国株式市場=S&P上昇、好業績に期待 利回り上昇

ワールド

バイデン氏、建設労組の支持獲得 再選へ追い風

ビジネス

米耐久財コア受注、3月は0.2%増 第1四半期の設
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 2

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令

  • 3

    マイナス金利の解除でも、円安が止まらない「当然」の理由...関係者も見落とした「冷徹な市場のルール」

  • 4

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 5

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 6

    ケイティ・ペリーの「尻がまる見え」ドレスに批判殺…

  • 7

    イランのイスラエル攻撃でアラブ諸国がまさかのイス…

  • 8

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    コロナ禍と東京五輪を挟んだ6年ぶりの訪問で、「新し…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 10

    ダイヤモンドバックスの試合中、自席の前を横切る子…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中