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サントリーとニッカが高価格ジンに参入した理由

2017年8月9日(水)17時15分
石阪友貴(東洋経済記者)※東洋経済オンラインより転載

ニッカウヰスキーの「カフェジン」とサントリースピリッツの「ROKU(ロク)」。発売数カ月にもかかわらず、売れ行きは好調だという(記者撮影)

「ジンは作り手の創造意欲をかき立て、"語る"ことのできる酒だ」。銀座にあるスタア・バー・ギンザのオーナーで、日本バーテンダー協会の岸久・会長はそう話す。

国内の大手酒類メーカーが従来よりも高価格帯のジンの販売に相次いで乗り出している。アサヒビールは、グループ会社のニッカウヰスキーが製造する「ニッカ カフェジン」(税別4500円)を6月27日から発売。サントリースピリッツも、「ROKU」(税別4000円)を7月4日に発売した。

「ROKU」は発売から約1カ月で当初の年間販売目標を達成、年間販売計画を当初の4倍となる4000ケース(1ケースは12本)に引き上げた。「カフェジン」は9月から欧米向けの輸出を始めるなど、出足は好調だ。

すぐに出荷できて、収入も得られる

ジンとは一般的に、大麦などの穀物を発酵・蒸溜させてできたスピリッツにジュニパーベリーという香辛料で香りをつけて再蒸溜したもの。ジュニパーベリーのほかにも、ボタニカルと呼ばれる果物の皮や薬草などを使用して香りや味付けをする。

そのため、大規模な設備がなくても味や香りに独自の個性を出しやすく、ウイスキーのような熟成もいらないため、収益を確保しやすい。

その中でもニッカやサントリーが注力するのは「プレミアムジン」と呼ばれ、製法やボタニカルにこだわったジャンルだ。メーカーによってはクラフトジンとも呼んでいる。「ビーフィーター」など既存のジンが1本1000〜2000円で販売されているのに対して、プレミアムジンは3000〜5000円、もしくはそれ以上の価格で販売されている。

ジンの販売が好調な背景には、世界的なウイスキーブームによる原酒不足がある。英調査会社ユーロモニターによれば、世界のウイスキー消費量は2016年に326万キロリットルとこの10年間で約1.5倍に急増。中国や東南アジアなど新興国の経済成長に伴い、需要が伸びたことが大きい。

ウイスキーは熟成に数年単位の時間を要するため、需要が増えても、急に供給を増やすことは難しい。「小さい蒸溜所しか持たない(酒類)メーカーが、すぐに出荷できて、収入になるジンの製造を始めた」(バーテンダー協会の岸会長)ことが、ブームのきっかけになった。

プレミアムジンのブームが勢いを見せ始めたのは2013年のこと。ユーロモニターによれば、世界のジンの消費量は、2013年の55.6万キロリットルから、2016年には63.2万キロリットルと、4年間で13%増えた。一方、ウイスキーは同期間に306万キロリットルから、326万キロリットルと、6.4%増にとどまる。

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