最新記事

エアライン

ユナイテッド航空ボイコット、原因はコカ・コーラ

たまたま陰険なCAに当たったのか、企業体質か、憤懣やるかたない乗客の叫び

2015年6月1日(月)14時42分
ダニエル・ポリティ

イメージダウン アメリカ社会の縮図なのか Louis Nastro-REUTERS

 ユナイテッド航空でシカゴからワシントンに飛んだイスラム教徒の大学職員タヘラ・アーマド(31)は、機中で悔し涙に暮れることになった。キャビンアテンダント(CA)に差別的な扱いを受けた、というのだ。

 原因はダイエット・コーク。CAにダイエット・コークを注文したのが始まりだ。CAが持ってきた缶は既にキャップが開いていた。アーマドが未開封の缶と交換して欲しいと言うと、その女性CAは「誰も口はつけていないから平気よ」と拒絶した。アーマドが繰り返し頼むと、「未開封の缶は渡せない。だからあなたのダイエット・コークもなしね」と、CAは言ったという。

 驚くことはさらに続いた。CAがアーマドの隣りの席の男に未開封の缶ビールを渡したのだ。アーマドが扱いが違うと抗議すると、「未開封の炭酸飲料は武器に使われる危険があるから渡せない」と答えたという。差別だと非難すると、CAは、未開封の缶を持ってくる代わりに男のビール缶に手を伸ばしてキャップを開けた。

 何より悔しかったのは、周りの乗客が誰も彼女の味方についてくれなかったことだ。アーマドが周囲にこの差別を目撃したか聞くと、通路の向かいの男は「ムスリム女め、黙ってろ」と怒鳴った。他の乗客も関わりたくないと言わんばかりに首を振った。

 ユナイテッド航空は、「我々は従業員に対しても乗客に対しても差別はしない」と声明を出した。「ミス・アーマドに直接連絡を取って、事情を聴いている」 

 また別の声明で、ユナイテッドはこの事件を「ダイエット・コークの缶をめぐる誤解」と表現している。

 差別の訴えを黙殺し、些細な出来事に矮小化しようとするユナイテッドの姿勢に心から失望した、とアーマドは言う。

 アーマドが事件の一部始終をフェイスブックに公開すると、たちまち怒りのコメントが殺到。ユナイテッド航空のボイコット運動にまで発展している。

© 2015, Slate

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中国人民銀には追加策の余地、弱い信用需要に対処必要

ビジネス

テスラ、ドイツで派遣社員300人の契約終了 再雇用

ビジネス

円債残高を積み増し、ヘッジ外債は縮小継続へ=太陽生

ワールド

中国とインドネシア、地域の平和と安定維持望む=王毅
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画って必要なの?

  • 3

    【画像】【動画】ヨルダン王室が人類を救う? 慈悲深くも「勇ましい」空軍のサルマ王女

  • 4

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 5

    パリ五輪は、オリンピックの歴史上最悪の悲劇「1972…

  • 6

    人類史上最速の人口減少国・韓国...状況を好転させる…

  • 7

    「イスラエルに300発撃って戦果はほぼゼロ」をイラン…

  • 8

    ヨルダン王女、イランの無人機5機を撃墜して人類への…

  • 9

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 10

    アメリカ製ドローンはウクライナで役に立たなかった

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体は

  • 4

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    帰宅した女性が目撃したのは、ヘビが「愛猫」の首を…

  • 7

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 8

    「もしカップメンだけで生活したら...」生物学者と料…

  • 9

    温泉じゃなく銭湯! 外国人も魅了する銭湯という日本…

  • 10

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 7

    巨匠コンビによる「戦争観が古すぎる」ドラマ『マス…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中