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【哲学】人類をリセットするクラウド革命

The Fourth Revolution

単体の存在から相互につながる情報の共有体へ。技術の進化による「第4の革命」が人間の定義を覆す

2010年2月4日(木)12時00分
ルチアーノ・フロリディ(英ハートフォードシャー大学哲学科教授)

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 科学が私たちの理解を変える方法は、ごく大ざっぱに分けて2つある。1つは外向き、つまり外の世界についての認識を変えるもの。もう1つは内向き、つまり私たち人間についての理解を変える方法だ。過去の3つの科学革命は、その両方に大きな影響を与え、外的世界に対する私たちの理解を変えることで「人間とは何か」をめぐる私たちの内的認識も変えた。

 コペルニクス以後、それまでの地球中心の宇宙観に太陽中心の宇宙観が取って代わり、人間を宇宙の中心から追い出した。ダーウィンは、すべての生物種が自然淘汰によって共通の祖先から進化してきたことを示し、人類を動物界の中心から追い出した。そしてフロイト以降、私たちは精神も無意識の産物であり、抑圧という防衛機制に影響されることを理解するようになった。

 つまり、私たちは宇宙の中心に位置する不動の存在ではなく(コペルニクス革命)、他の動物たちと切り離された別個の存在でもなく(ダーウィン革命)、自分自身を完全に理解できる純粋な合理的精神などでは決してない(フロイト革命)。

 以上の3つの革命を、人間の本質を見直すプロセスの一環と最初に位置付けたのはフロイトだった。この概念的枠組みは、「最近になって人間の自己認識に極めて重要な根本的変化が起きた」という私たちの直観を説明する役にも立つ。

 50年代以降、コンピューター科学とICT(情報通信技術)は外向きにも内向きにも影響を与え、私たち人間と外的世界との相互作用だけでなく、「人間とは何か」をめぐる私たちの自己認識も一変させた。

人間は単体から「インフォーグ」に

 多くの点で、私たちは自分自身をスタンドアローン(単体)の存在ではなく、相互に結び付いた情報的有機体──「インフォーグ」と見なすようになった。そしてインフォーグは、生物や人工物(および両者のハイブリッド)の行為主体と地球規模の環境──「インフォスフィア(情報圏)」を共有している。このインフォスフィアは究極的には情報の集合体であり、情報関連のあらゆるプロセス・サービス・実体で構成される。つまり、この環境には情報の実体そのものだけでなく、その特性や相互作用、相互の関係性も含まれる。

 従って現在のデジタル革命は、人間の本質と宇宙における役割を見直す長期的プロセスの延長線上にある「第4の革命」と見なすのが最も適切な理解法だ。今日、デジタル革命は人間と現実の究極的本質に対する私たちの理解、すなわち形而上学的認識の中心を物質から情報に変えている。

 今やオブジェクト(モノ、目的)とプロセス(処理、過程)は、人間の手によるサポートが不要なものとして扱われるケースが増え、「脱物質化」したと見なされる(デジタル音楽ファイルがいい例だ)。さらに「類型化」も進んでいる。あるオブジェクトの1つ(例えば手元にある音楽ファイルのコピー)は、その「形式」(オリジナルとコピーを含む同じ曲のすべての音楽ファイル)と同じ品質を持っているからだ。

 そしてコピーとオリジナルが互換性を持つことから、オブジェクトとプロセスは本質的に100%クローン化できると想定されている。両者の物質的本質が従来ほど重視されなくなった結果、使用権が所有権と少なくとも同等の重要性を持つと考えられるようになった。

 最後に、存在の基準(何かが存在するとはどういうことか)は、もはや物理的に不変かどうかではなくなった(古代ギリシャ人は、完全な存在といえるのは不変なものだけだと考えた)。認識可能かどうかでもない(近代哲学は、五感で認識できることが存在の条件だと主張した)。相互作用の可能性があるかどうかだ。つまり存在とは、相互作用が可能な状態のことであり、それがバーチャルのみの相互作用でも構わない。

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