コラム

ニューヨークの地下鉄の匂いを掴み取る情熱の写真家

2016年12月23日(金)11時35分
ニューヨークの地下鉄の匂いを掴み取る情熱の写真家

From Stephen Reel @stephen.reel

<ニューヨークをベースに活動するベテラン写真家スティーブン・リール。最も力を注いでいるプロジェクトは、地下鉄シリーズとポートレート・シリーズだ>

 情熱は、写真家にとってもっとも大切なことの1つだ。情熱がなければ、いくら才能があっても写真を撮り続けることはできない。目の前にチャンスが訪れても、確実に掴みとろうとする意気込みがなければ、あるいは決定的瞬間をその沸点まで執拗に追い求めようとする意志がなければ、写真は簡単に凡庸になってしまう。

 今回紹介するのは、アイルランドのダブリン出身だが、ニューヨークをベースに活動しているスティーブン・リール。現在45歳だが、そんな情熱を持ち続けている写真家だ。27年間、ニューヨークで揉まれ続けてきた経験と感性を生かして、パーソナル・プロジェクトをインスタグラムで発表している。

 リールが最も力を注いでいるプロジェクトは、ニューヨークの地下鉄シリーズである。シリーズには2種類あり、1つは"THROUGH THE LOOKING GLASS"(窓越しに)だ。ニューヨークの地下鉄のある路線に絞った、車両の窓越しに見える乗客のポートレイト・シリーズである。そのさまざまな顔を通して、ニューヨーカーの、ニューヨークそのものの鼓動を表そうとしている。

 もう1つは"GHOSTS IN THE MACHINE"(マシーンの中の幽霊たち)。コンセプチュアルだ。通勤通学者たちの地下鉄での日常の動きをゴースト(幽霊)として捉えているのである。実験的でもある。三脚を立て、ピンホール・カメラ、長時間露光を用いて、あるいは古い8ミリカメラで撮影したモーション・フィルムをスティール写真として処理する。ちなみに、サウンドを入れたモーション・フィルムのプロジェクトにもなっている。

【参考記事】 NY音楽シーンの熱気を伝える、撮影者と被写体の信頼感

プロフィール

Q.サカマキ

写真家/ジャーナリスト。
1986年よりニューヨーク在住。80年代は主にアメリカの社会問題を、90年代前半からは精力的に世界各地の紛争地を取材。作品はタイム誌、ニューズウィーク誌を含む各国のメディアやアートギャラリー、美術館で発表され、世界報道写真賞や米海外特派員クラブ「オリヴィエール・リボット賞」など多数の国際的な賞を受賞。コロンビア大学院国際関係学修士修了。写真集に『戦争——WAR DNA』(小学館)、"Tompkins Square Park"(powerHouse Books)など。フォトエージェンシー、リダックス所属。
インスタグラムは@qsakamaki(フォロワー数約9万人)
http://www.qsakamaki.com

ニュース速報

ワールド

英首相が24日にブリュッセル訪問、EUは離脱交渉巡

ワールド

特別リポート:NYに潜む危険な鉛汚染、子ども540

ワールド

焦点:北朝鮮の金正恩指導部に亀裂か、最側近の軍司令

ビジネス

「近い将来」に利上げ正当化される可能性=米FOMC

MAGAZINE

特集:北朝鮮の歴史

2017-11・28号(11/21発売)

核・ミサイル開発に日本人拉致問題、テロ活動...... 不可解過ぎる「金王朝」を歴史で読み解く

グローバル人材を目指す

人気ランキング

  • 1

    北朝鮮「亡命兵士」の腸が寄生虫だらけになった理由

  • 2

    ジャーマンシェパード2頭に1頭が安楽死 見た目重視の交配の犠牲に

  • 3

    東日本大震災の瓦礫に乗って、外来種がやって来た

  • 4

    北朝鮮「亡命兵士」の命を脅かす寄生虫の恐怖

  • 5

    北朝鮮、亡命の兵士を追って軍事境界線を越境してい…

  • 6

    「筋トレは、がんによる死亡リスクを31%下げる」と…

  • 7

    北朝鮮「兵士亡命」が戦争の引き金を引く可能性

  • 8

    犬も鬱で死ぬ 捨てられたショックで心は修復不可能に

  • 9

    もう体に合わないことはない! ZOZO、採寸用ボディ…

  • 10

    韓国でスープになる直前の犬を救出 ベトナムでは犬…

  • 1

    北朝鮮「亡命兵士」の腸が寄生虫だらけになった理由

  • 2

    北朝鮮「亡命兵士」の命を脅かす寄生虫の恐怖

  • 3

    北朝鮮「兵士亡命」が戦争の引き金を引く可能性

  • 4

    サンフランシスコ「従軍慰安婦像」への大阪市対応は…

  • 5

    北朝鮮の女子大生が拷問に耐えきれず選んだ道とは...

  • 6

    飛び級を許さない日本の悪しき年齢主義

  • 7

    アメリカで黒人の子供たちがたたき込まれる警官への…

  • 8

    「クラスで一番の美人は金正恩の性奴隷になった」

  • 9

    「人肉は食べ飽きた」と自首した男と、とんでもない…

  • 10

    子供を叩かないで! 体罰の影響を科学的に研究 

  • 1

    北朝鮮「亡命兵士」の腸が寄生虫だらけになった理由

  • 2

    北朝鮮の電磁パルス攻撃で「アメリカ国民90%死亡」――専門家が警告

  • 3

    北朝鮮「兵士亡命」が戦争の引き金を引く可能性

  • 4

    北朝鮮「亡命兵士」の命を脅かす寄生虫の恐怖

  • 5

    「クラスで一番の美人は金正恩の性奴隷になった」

  • 6

    人はロボットともセックスしたい──報告書

  • 7

    北朝鮮経済の「心臓」を病んだ金正恩─電力不足で節約…

  • 8

    トランプは宣戦布告もせず北朝鮮を攻撃しかねない

  • 9

    北朝鮮危機「アメリカには安倍晋三が必要だ」

  • 10

    「トランプ歓迎会に元慰安婦」の陰に中国?

PICTURE POWER

レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい

全く新しい政治塾開講。あなたも、政治しちゃおう。
日本再発見 シーズン2
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
メールマガジン登録
売り切れのないDigital版はこちら

MOOK

ニューズウィーク日本版 特別編集

最新版 アルツハイマー入門

絶賛発売中!