レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい
「またギャング同士の殺し合いか---毎日10件は起きる。これだけ見せられると、さすがに死体にも慣れてくるもんだな」敵対グループに殺されたギャングの遺体。17発の銃弾が撃ち込まれていた
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コロンビア第2の都市メデジンのスラムで生まれ育ったあるギャングの一員は言う。「ここではすべてがたやすい。愛もセックスも麻薬も、それに殺人も」
かつて町には「ドン・ベルナ」と呼ばれる王がいた。彼は麻薬取引と民兵組織のボスとして、武力と財力で町を支配。非合法で荒っぽいながらも、秩序はあった。08年、彼が逮捕されアメリカに送還されると、あるじを失った町は制御不能に陥った。いくつもの麻薬組織が麻薬取引と町の支配権を狙って抗争を繰り広げ、09年だけで2000人以上が殺された。
ギャングになる若者が減る兆しもない。ギャングはあまりに深く日常に根を下ろしているため、子供を遠ざけるのは不可能だと親でさえ諦めている。ある殺し屋は「普通に働こうとしたけど無理だった」と話す。「こんな暮らしを両親が望んでいなかったことは分かっている。誰も望んだわけではないが、これがメデジンなんだ」
政府は、銃を捨てる若者に教育機会を与えるプログラムを開始した。だがそのための補助金までもがギャングに流れて、銃や麻薬に化けているのが現実だ。メデジン住民の悲劇は、血の抗争に決着がついて次の王が決まるまで終わらないのか。
2010年5月26日号掲載
Photographs by Kosuke Okahara
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