レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい
ドーバー海峡を隔てた対岸にイギリスを望むフランス北部の町カレー。その港の近くに「ジャングル」と呼ばれる、テントや小屋が立ち並ぶ一角がある。住み着いているのは、スーダンやイラクなど北アフリカ・中東地域からヨーロッパにやって来た2000人を超える不法滞在の移民だ。
イギリスはヨーロッパのなかでも移民に対して寛容だと言われる。彼らはイギリス行きのフェリーに忍び込んで亡命しようと、ここカレーで機会をうかがっている。
エリトリア出身のイスマイルは、故郷から陸路でリビアに行き、ボートでイタリアへ渡った。イタリアにとどまることもできたが、仕事が見つからなかった。イギリスに渡れば良い暮らしができると信じ、カレーに流れ着いた。
フランス警察は9月末に「ジャングル」を捜索し、300人近く(半数が18歳以下の少年)の不法滞在者を拘束した。それでも移民は続々とカレーを目指して集まり、公安当局とのいたちごっこは続く。
スーダンの紛争地帯ダルフールから逃れてきた避難民がつぶやく。「ダルフールには、たくさんのヨーロッパ人が来て助けてくれる。それなのに、なぜここでは助けてくれないのか? なぜここでは厄介者扱いされるのか?」
[2009年10月21日号掲載]
PHOTOGRAPHS BY KOSUKE OKAHARA―AGENCE VU


